ETCカードを車載器に挿入し、「ETCカードが挿入されました」「有効期限は○年○月です」と正常そうな音声が流れれば、そのまま料金所を通過できると思いがちです。しかし、カード挿入時に正常な案内が流れた場合でも、実際のETCゲートで開閉バーが開かないことは現実にあり得ます。
これは、車載器がETCカードを読み取る処理と、料金所で車載器・ETCカード・路側アンテナが通信して通行処理を行うことが別の段階だからです。ETC総合情報ポータルサイトも、カードの問題だけでなく、車載器や料金所設備の不具合、通信異常などによって開閉バーが作動しない場合があると案内しています。[参照] ETC総合情報ポータルサイト「ETC利用上の注意」
そのため「車載器がカードを認識した=ゲートが100%開く」という理解ではなく、料金所では万一バーが開かないことを前提に、時速20km以下でいつでも停止できるように進入することが重要です。
ETCカードの有効期限が読み上げられれば利用できる?
まず確認したいのが、車載器から流れる音声の意味です。ETC車載器にはカードを挿入した際に利用可否を確認する機能があります。また、機種によってはETCカードの有効期限を確認したり、有効期限を音声で案内したりする機能もあります。[参照] ETC総合情報ポータルサイト「ETC車載器について」
例えば「ETCカードが挿入されました。有効期限は○年○月です」といった正常な案内が出ているなら、少なくともその時点で車載器がカードから一定の情報を読み取れていると考えられます。
ただし、この音声案内は「次に通る料金所のゲートが必ず開く」という保証ではありません。料金所を通過するときには車載器と料金所側設備との無線通信など、カードを挿入した瞬間とは別の処理が行われるためです。
正常に認識したのにETCゲートが開かない原因
ETCの公式案内では、料金所で発生するエラーについて複数の原因が示されています。代表的なものを整理すると次のようになります。
| 原因 | 起こり得ること |
|---|---|
| ETCカードの接触・読み書き異常 | 挿入時は認識できても利用時の処理でエラーになる場合がある |
| カードの汚れ・変形・破損 | ICチップとの通信が不安定になる可能性がある |
| 車載器の異常 | 料金所との正常な処理ができない場合がある |
| 車載器と料金所設備の通信異常 | カードが正常でも開閉バーが開かないことがある |
| 料金所側設備の不具合 | まれに設備側の問題でバーが作動しない場合がある |
| 車載器のセットアップ情報の問題 | 車両変更後などに必要な再セットアップをしていないと正常利用できない可能性がある |
ETCの公式エラーコードにも、カード読込異常の「02」、車載器故障の「04」、車載器と料金所側とのデータ処理異常である「06」、通信異常の「07」、カード書込異常の「11」などがあります。[参照] ETC総合情報ポータルサイト「エラーコード一覧」
つまり、ETCには「カードを挿したときの認識」以外にもエラーになるポイントがあります。これが、出発時には正常だったのに料金所でバーが開かないケースが存在する理由です。
カード自体が正常でも通信エラーは起こり得る
特に分かりやすいのが通信異常です。ETCは料金所を通過するとき、車載器と料金所に設置された路側機との間でデータ通信を行います。
ETC総合情報ポータルサイトでは、エラーコード07を「通信異常」としており、車載器と料金所ETCレーン路側機間のデータ処理にエラーが発生した状態と説明しています。この場合は料金所係員の指示に従うことになっています。
したがって、カードを入れた時点で「正常です」と判断できても、その後の料金所との通信まで事前に確認することはできません。カード認識と料金所通過は、一連のETC利用の中でも別々に考える必要があります。
ETCカードの汚れや熱による劣化にも注意
ETCカードのICチップ部分が汚れている場合、データを正常に読み書きできなくなることがあります。公式サイトでは、カード読込異常が起きた場合、ICチップがある接触面を乾いた柔らかい布で軽く拭く方法が案内されています。
また、ETCカードを車載器へ挿したまま車内に放置するのも避けるべきです。特に夏場の車内は非常に高温になるため、カードが変形したり使用できなくなったりして、車載器とのデータ通信エラーにつながる可能性があります。[参照] ETC総合情報ポータルサイト「ETCカードについて」
例えば、朝にカードを挿入したときには正常に認識していても、カードそのものや接点に問題があれば、その後も必ず安定して通信できるとは限りません。エラーが繰り返される場合はカードと車載器の双方を切り分けて確認する必要があります。
車を買い替えたり車載器を移設した場合は再セットアップも確認
ETC車載器には、その車の車両情報が登録されています。車載器を別の車へ付け替えた場合や、ナンバープレート変更などで車両情報が変わった場合には、再セットアップが必要になるケースがあります。
ETC総合情報ポータルサイトでは、正しい再セットアップを行っていない場合、開閉バーが開かない可能性があることや、正しい通行料金が請求されない可能性、ETC割引が適用されない場合があることなどを案内しています。[参照] ETC総合情報ポータルサイト「ETC車載器の再セットアップ」
中古車を購入した、以前の車からETC車載器を移植した、ナンバーや車両情報に変更があった、といった事情がある場合は、カードだけでなく車載器のセットアップ状況も確認しておくと安心です。
有効期限切れでも車載器がカードを認識する場合がある
もう一つ注意したいのがETCカードの有効期限です。公式サイトでは、有効期限切れのETCカードを挿入しても、車載器そのものはカードを正常に認証する機種があると注意喚起しています。
期限切れのカードではETCゲートの開閉バーは開きません。そのため、車載器から何らかの正常音声が聞こえたことだけを根拠にせず、カード券面の有効期限そのものを確認することが基本です。
もっとも、有効期限を正しく音声案内する機種で、読み上げられた期限が現在より先であることを確認できているなら、期限切れの可能性は低くなります。その場合は、カードの接触状態、車載器、セットアップ、料金所との通信など別の原因を考えることになります。
入口と出口でETCカードを交換するとバーが開かない
高速道路の入口をETCで通過したあと、サービスエリアなどでカードを抜き、誤って別のETCカードを挿入して出口へ向かうケースにも注意が必要です。
ETC総合情報ポータルサイトによると、有料道路の入口と出口では同じETCカードを使用する必要があり、入口と異なるETCカードを出口で使用すると開閉バーが開きません。
そのため、複数のETCカードを持っている場合は特に注意が必要です。途中でカードを持ち出した場合も、走行を再開するときには入口で使用したものと同じカードを戻すようにします。
ETCゲートでは「バーが開く前提」で走らないことが重要
ETCレーンでは「正常音声を確認したから大丈夫」と速度を落とさず進入するのは危険です。ETCの公式ルールでは、料金所では時速20km以下に減速し、十分な車間距離を確保して通行するよう案内されています。[参照] ETC総合情報ポータルサイト「レーン通過のルール」
これは自分のETCに異常が発生する可能性だけが理由ではありません。前を走る車のETCにエラーが発生し、その車が突然停止する可能性もあるからです。
ETCは「カードが正常なら絶対にバーが開くシステム」ではなく、「まれにバーが開かないことを想定して停止可能な速度で利用するシステム」と考えておくのが安全です。
実際にETCゲートが開かなかったらどうする?
開閉バーが開かなかった場合は、慌ててバックしたり、隣のレーンへ移動したりしてはいけません。NEXCO中日本も、バーが開かなかった場合にはその場で停車し、絶対にバックしないよう案内しています。[参照] NEXCO中日本「ETCレーンの開閉バーが開かない!」
後続車へ知らせるためハザードランプを点灯し、レーンに設置されているインターホンや呼び出し設備を使って係員の指示を受けます。係員から指示される前に車外へ出るのも危険なので避けます。
入口でバーが開かず通行券が発行される設備であれば、通行券を受け取り、出口では「一般」「ETC/一般」など係員対応が可能なレーンへ進み、通行券とETCカードを提示する方法が公式に案内されています。料金所の設備によって対応が異なるため、現場の表示と係員の指示を優先します。
エラーが一度でも起きたら何を確認すればよい?
一度だけ通信エラーが発生し、その後は問題なく利用できる場合もあります。一方、複数の料金所で繰り返しエラーになるなら、カードまたは車載器側の問題を疑ったほうがよいでしょう。
確認する順序としては、次のように切り分けると原因を探しやすくなります。
- ETCカード券面の有効期限を確認する
- ICチップ部分に汚れや傷、変形がないか確認する
- エンジン始動後、走行開始前にカードを奥まで確実に挿入する
- 車載器のエラーコードや音声案内を確認する
- 車両変更・車載器移設後なら再セットアップの有無を確認する
- 繰り返す場合はカード発行会社、車載器メーカー、販売店などへ相談する
可能であれば、別の正常なETCカードを同じ車載器で試す、あるいは問題のカードを別の車載器で確認すると、「カード側なのか車載器側なのか」を切り分ける材料になります。公式サイトでも同様の確認方法が案内されています。ただし、走行中にカードを抜き挿しするのは危険なので行わないでください。
まとめ|正常音声が出てもETCゲートが開かない可能性はある
ETCカードを挿入し、「カードが挿入されました」「有効期限は○年○月です」と正常な音声が流れていても、料金所でETCゲートが開かないことは現実的に起こり得ます。
理由は、カード挿入時の読み取りが正常でも、その後にカードの読み書き異常、車載器の故障、車載器と料金所設備との通信異常、料金所設備の不具合などが発生する可能性があるためです。また、車載器の再セットアップが適切でない場合や、入口と出口で異なるETCカードを使った場合にも正常に通過できない可能性があります。
したがって、正常音声は「出発前の重要な確認」ではあるものの、「次のゲートが必ず開く保証」とは考えないほうが安全です。ETCレーンでは必ず時速20km以下まで減速し、十分な車間距離を取り、バーが開かなければ停止できる状態で進入することが基本です。
万一バーが開かなかった場合は、バックや無理な通過をせず、その場で停車してハザードランプを点灯し、インターホンなどで係員の案内を受けるという対応を覚えておけば、突然のETCエラーにも落ち着いて対処できます。


コメント