ホテル・旅館の欠番や使われていない客室は事件・事故が原因?部屋番号が飛ぶ本当の理由を解説

ホテル、旅館

ホテルや旅館の館内を歩いていると、「401号室の次が403号室になっている」「客室らしい扉があるのに宿泊者には使われていない」といった場所に気付くことがあります。こうした欠番や非販売客室を見ると、過去の事件・事故を理由に閉鎖された部屋ではないかと想像しがちです。

しかし、部屋番号が欠番になっていることや、現在販売されていない客室があることだけで、過去に自殺・殺人・事故などがあったと判断することはできません。ホテルには建築上・運営上・文化上のさまざまな理由で欠番や非販売客室が生じます。

一方、実際に客室内で人が亡くなる事案が発生する可能性も当然あります。重要なのは、「事件や事故で部屋を使わなくなることはあり得る」という話と、「欠番だから事件・事故があった」という推測を区別することです。

ホテルの客室が欠番でも事件・事故があったとは限らない

例えばホテルの客室が「501・502・503・505」と並んでいて504号室が存在しない場合、それだけを根拠に504号室で過去に何かがあったと考えることはできません。

そもそも部屋番号は土地の地番のように行政機関が一室ずつ指定するものではなく、ホテル側が館内管理や宿泊客への案内を考慮して設定しています。そのため、建物の実際の区画と番号が必ず連続するとは限りません。

「番号がない=その番号の部屋が以前存在した」という前提自体が成立しないケースもあります。最初からその番号を設定していなければ、閉鎖された客室が存在するわけではありません。

欠番が生まれる代表的な理由

ホテルや旅館で番号が飛ぶ理由として考えられるのは、事件や事故だけではありません。実務上は次のような事情が考えられます。

  • 建物の構造上、客室を設けられない位置がある
  • 階段・エレベーター・機械室・倉庫などが配置されている
  • 改装によって複数の客室を一つの客室へ統合した
  • 客室をスタッフルームや倉庫など別用途へ転用した
  • 番号を分かりやすくするため意図的に飛ばしている
  • 特定の数字を避けるため欠番としている
  • 増築・改築後も従来の部屋番号体系を残している

例えば以前の「502号室」と「503号室」をつなげて大きなスイートルームに改装した場合、どちらか一方の番号を残してもう一方を廃止することがあります。すると廊下の番号だけを見ると不自然な欠番に見えます。

また、同じ位置に客室が並んでいるように見えても、実際には配管スペースやバックヤードなどが入っていることがあります。利用客から見える廊下だけでは建物内部の用途までは判断できません。

「4」「9」「13」などを避けるホテルもある

ホテルの欠番を考えるうえで分かりやすいのが、文化的・慣習的な理由による数字の回避です。日本では「4」を「死」、「9」を「苦」と連想することから、病院や宿泊施設などでこれらの数字を避ける例があります。

海外では「13」が不吉な数字として扱われる文化があり、13階そのものを表示上設けないホテルや建物もあります。例えばエレベーターの表示が12階の次に14階となっていても、「13階で事件が起きたから閉鎖した」という意味ではありません。

こうした例を考えれば、番号が飛んでいるという現象だけから、その場所の過去を推測することが難しいと分かります。

使われていない客室にもホテル運営上の理由がある

番号だけでなく、「客室は存在するのに予約サイトで販売されていない」というケースもあります。しかし、これも事件・事故の証拠にはなりません。

ホテルでは設備故障や改装などによって客室を一時的に販売対象から外すことがあります。空調、水回り、給湯、鍵、照明などに不具合があれば、修理が完了するまで宿泊客を入れないのは通常の安全管理です。

例えば繁忙期に予約サイトを見ると一部屋も空いていないのに、夜になると照明のついていない客室があることがあります。それも「空室なのに販売していない」とは限りません。宿泊者が外出している、カーテンを閉めている、団体用に確保しているなど、外からでは判断できない事情があります。

長期間使われない部屋もあり得る

短期的な故障だけでなく、大規模改修まで使用を停止している部屋、備品保管場所として利用している部屋、従業員用スペースへ変更された部屋なども考えられます。

古い旅館では増改築を繰り返していることもあり、現在の客室配置と昔の部屋番号体系がきれいに一致しないこともあります。建物の歴史が長いほど、外から見ただけでは用途を読み取れない区画が存在しても不思議ではありません。

過去に死亡事故があった客室は必ず永久欠番になる?

ここも誤解されやすいポイントです。仮に客室内で死亡事故などが発生したとしても、その部屋を永久に閉鎖したり、部屋番号を永久欠番にしたりしなければならないという一律のルールがあるわけではありません。

事件・事故の状況、建物への損傷、清掃・修繕の必要性、警察による現場確認、ホテル側の運営判断などによって対応は変わります。必要な処理や修繕を行った後、再び客室として利用されるケースも考えられます。

逆に、ホテルがある部屋を長期間使用していないとしても、その理由が死亡事案とは限りません。したがって「事件があった部屋なら閉鎖される」「閉鎖されている部屋なら事件があった」という双方向の推論はいずれも成り立ちません。

ホテルの「事故物件」は住宅と同じように考えてよい?

不動産では、過去の人の死について宅地建物取引業者がどこまで告知するかについて、国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表しています。[参照] 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」

ただし、このガイドラインは宅地建物取引業者が行う不動産取引に関するものであり、ホテルに一泊する宿泊契約について「過去にその客室で死亡事案があれば必ず宿泊客へ告知しなければならない」と定めたホテル向けの統一ルールではありません。

そのため、「不動産の事故物件なら告知の話があるのだから、ホテルでも同じはず」と単純に当てはめることはできません。宿泊施設と住宅の売買・賃貸では契約の性質が異なります。

欠番だけを根拠にホテル名や事件を結び付けるのは危険

インターネットでは「○○ホテルの○号室が欠番なのは過去に事件があったからではないか」といった話が広まりやすいものです。しかし、ホテル側や報道、公的記録などによる裏付けがなければ、単なる推測である可能性があります。

特に実在するホテル・旅館について、「この部屋では自殺があった」「殺人事件が原因で閉鎖されている」などと事実であるかのようにSNSや口コミサイトへ投稿することには注意が必要です。施設の社会的評価や営業に影響する情報だからです。

気になる番号を発見しても、欠番という事実と、その理由についての推測は分けて考えるのが適切です。「なぜこの番号がないのだろう」と感じること自体は自然ですが、それだけでは過去の出来事を特定する材料にはなりません。

本当に過去の事件・事故を確認したい場合はどうする?

特定の宿泊施設について確認したい事情がある場合は、噂や匿名投稿だけで判断せず、ホテルの公式発表、新聞などの信頼できる報道、公的機関が公表している情報などを確認する方法があります。

検索するときも「○号室 欠番」という情報だけではなく、ホテル名と「事故」「事件」などを組み合わせ、情報源が何なのかを確認することが重要です。ただし、検索結果に個人ブログや掲示板が表示されたからといって内容が事実とは限りません。

ホテルへ直接尋ねる方法も考えられますが、個別の客室の過去について回答してもらえるとは限りません。プライバシーや施設運営上の事情もあるため、回答がないこと自体を「何かを隠している証拠」と解釈しないことも大切です。

ホテルの部屋番号を見るときに知っておきたいこと

一般にホテルの部屋番号は、階数とその階での位置を分かりやすくするために付けられています。例えば「805」であれば8階の5番目付近の客室というような体系です。ただし、これは絶対的な規則ではありません。

建物によっては増築部分だけ別の番号体系になっていたり、スイートルームに特別な名称を付けていたりします。その結果、「同じ階なのに番号が連続していない」ということが起こります。

つまり部屋番号は、建物の歴史を完全に記録した連番ではなく、現在のホテルを運営しやすくするための識別番号と考えるほうが実態に近いでしょう。

まとめ|欠番や非販売客室だけでは過去の事件・事故は判断できない

ホテルや旅館に欠番があったり、使われていないように見える客室があったりしても、それだけで過去に自殺・殺人・事故などが発生したと判断することはできません。

欠番が生じる理由には、建築構造、改装、客室の統合、倉庫やスタッフルームへの転用、設備上の都合、番号体系の変更、「4」「9」「13」など特定の数字を避ける慣習など、多くの可能性があります。また、非販売客室についても設備故障や改修、運営上の在庫調整などさまざまな事情が考えられます。

一方で、宿泊施設で死亡事案が発生すること自体はあり得ます。ただし、「死亡事案が起きた部屋は必ず永久欠番になる」というルールも、「欠番なら死亡事案があった」というルールもありません。

気になるホテルについて調べる場合には、番号の不自然さから結論を出すのではなく、公式情報や信頼できる報道など客観的な根拠を確認することが重要です。欠番はあくまで欠番であり、その理由が確認できない限り、事件・事故と結び付けることはできないと考えるのが適切です。

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