県境をまたぐ長いトンネルでは、内部の壁面に「静岡県・愛知県」などの県境表示が設置されていることがあります。地上から見ると山の中を貫くトンネル内部のどこが県境なのか不思議に感じますが、これは偶然決められているわけではありません。
トンネル工事では、事前の測量や国土地理院の地図情報、正確な座標測定などを利用して県境の位置を特定します。この記事では、電波が届かないトンネル内でも、どのように県境位置を決めて表示しているのかを詳しく解説します。
県境は地面に線が引かれているわけではない
まず、県境というものは道路上に実際の線が描かれているものではありません。行政上の境界として、地球上の位置を示す情報として管理されています。
山や森林の中では、目印となる建造物がない場所も多いため、県境の位置は測量によって座標として管理されています。
そのため、トンネル工事を行う場合も「ここが県境」という位置情報を工事関係者が正確に把握して施工を進めます。
トンネル工事前に測量で県境の位置を確認する
県境をまたぐトンネルを作る場合、まず設計段階で正確な位置関係を調査します。
現在では、国土地理院が管理する測量成果や地図情報、GPSを利用した測量技術などを使って、県境の位置を座標として確認できます。
例えば山を貫くトンネルの場合、入口側と出口側の両方から測量を行い、トンネルがどの地点で県境を通過するのかを設計図に反映させます。
トンネル内部で位置を確認する方法
トンネル完成後に「県境表示」を設置する際は、スマートフォンのGPSのような方法は使いません。トンネル内部では電波が届かないため、別の測量方法を利用します。
代表的なのが、地上で測量した基準点をトンネル内部へ引き込む方法です。入口付近などに設置した正確な基準点から、測量機器を使ってトンネル内の距離や方向を測定します。
また、トータルステーションという高精度な測量機器を使用し、角度や距離を測りながらトンネル内の位置を特定します。
GPSが使えない場所でも正確な位置が分かる理由
GPSは人工衛星からの電波を利用するため、山の内部やトンネル内では利用できません。しかし、測量はGPSだけに頼っているわけではありません。
地上であらかじめ取得した正確な座標を基準にして、距離・角度・高さを順番に測定していけば、地下やトンネル内でも位置を求めることができます。
例えるなら、部屋の中でスマートフォンの位置情報が使えなくても、入口から何メートル進んだか、どちら向きに進んだかを測れば現在位置を計算できるのと同じ考え方です。
トンネルの県境表示はどのように設置されるのか
トンネル工事が完了すると、設計時に決められた県境位置に表示板や壁面表示が設置されます。
表示位置は工事担当者の感覚で決めるものではなく、測量によって求められた座標を基準にしています。
そのため、Googleマップのストリートビューなどで見る県境表示と地図上の県境ラインが近い位置になるのは、正確な測量結果に基づいて設置されているためです。
Googleマップで県境が確認できる理由
Googleマップで表示される県境も、スマートフォンがトンネル内で測定しているわけではありません。
地図サービス側が、国土地理院などの公開されている地理情報や独自の測量データをもとに位置情報を表示しています。
そのため、トンネル内でインターネットにつながらなくても、あらかじめ登録された地理情報によって県境の位置を確認できる仕組みになっています。
まとめ
県境をまたぐトンネルの県境位置は、現地でスマートフォンのGPSを使って調べているわけではありません。
トンネル建設前の測量によって県境の正確な座標を確認し、その情報をもとに工事を行い、完成後に壁面へ表示しています。
電波が届かない地下や山の中でも、基準点・測量機器・座標情報を組み合わせることで、数センチ単位の正確な位置管理が可能になっています。


コメント