神戸どうぶつ王国・那須どうぶつ王国はなぜ人気?ゾウやキリンがいなくても年間50万人以上を集める理由を解説

動物園、水族館

動物園の人気と聞くと、ゾウ・キリン・サイ・カバといった大型動物の充実度が入園者数を左右するように思えます。しかし、神戸どうぶつ王国や那須どうぶつ王国の人気を見ると、必ずしも「大型動物が多いほど集客力が高い」という単純な関係ではないことが分かります。神戸どうぶつ王国は2018年度に年間入園者88万人を記録したと報じられており、那須どうぶつ王国も東日本大震災やコロナ禍の時期を除けば年間約50万人が訪れる施設とされています。[参照][参照]その理由は、大型動物の「迫力」で勝負するのではなく、動物との距離の近さ、行動を見せる展示、ふれあい、パフォーマンス、珍しい動物、テーマパークとしての体験価値を組み合わせているからです。

そもそも人気動物園にゾウやキリンは必須ではない

従来型の大型動物園では、ゾウ、キリン、カバ、サイ、ライオンなどが代表的なスター動物として集客を支えてきました。しかし、来園者が動物園に求めるものは「大きな動物を見ること」だけではありません。

近年は、動物を近距離で観察したい、特徴的な行動を見たい、写真や動画を撮りたい、餌やりを体験したい、子どもと一緒に一日楽しみたい、といった需要も大きくなっています。そのため、大型動物の数より「その動物をどのように見せ、どんな体験を提供するか」が集客力につながるケースがあります。

なお神戸どうぶつ王国については「カバがいない」という表現は現在では正確ではなく、通常の大型のカバではありませんが、希少なコビトカバを飼育しています。公式サイトでもコビトカバや「カバカバトーク」が案内されています。[参照]

最大の強みは「見る動物園」より「近くで体感する動物園」であること

神戸どうぶつ王国と那須どうぶつ王国に共通する特徴の一つが、動物との距離の近さです。

神戸どうぶつ王国は公式に「花と動物と人とのふれあい共生」をテーマとし、約130種800頭羽の動物を飼育しながら、カピバラやアルパカなどとのふれあい、バードパフォーマンス、ドッグパフォーマンスなどを行う施設と説明しています。[参照]

例えばカピバラへの餌やり、アルパカへの餌やり、ペンギンのおやつ、フクロウの腕乗せ、犬や猫とのふれあいなど、「動物を遠くから眺める」以外のコンテンツが多数あります。[参照]

この違いは大きく、ゾウを50メートル先から見る体験と、カピバラが目の前まで来る体験では、動物自体の大きさとは別の種類の満足感があります。

パフォーマンスが「もう一度行きたい」を作っている

両施設は、動物の展示だけでなくパフォーマンスにも力を入れています。これが一般的な動物園との差別化につながっています。

神戸どうぶつ王国では、鳥が観客の近くを飛ぶフリーフライトバードパフォーマンス「Wings」をはじめ、ペリカンフライト、動物の生態を紹介するトークなどを実施しています。[参照]

那須どうぶつ王国も公式に、猛禽類やインコなどによる「BROAD」をはじめとする複数の動物パフォーマンスを行っています。運営会社は、ふれあいやパフォーマンスを通じて楽しく学べる「EDUTAINMENT」を目指す施設と説明しています。[参照]

動物が寝ていてほとんど動かない場合もある通常展示とは違い、パフォーマンスには開催時刻があり、「次は11時30分のショーを見よう」と園内を回遊する理由が生まれます。結果として滞在時間が長くなり、一日型のレジャー施設として楽しみやすくなります。

大型動物の代わりに「ここで見たい動物」を育てている

両施設は、ゾウやキリンを看板にする代わりに、比較的珍しく、見た目や生態に強い個性を持つ動物を積極的に紹介しています。

那須どうぶつ王国では、マヌルネコ、スナネコ、ホッキョクオオカミ、ハシビロコウ、ジャガー、アムールトラ、ニシツノメドリ、ケアなど、多様な動物を飼育しています。公式の動物一覧でも非常に幅広い種が確認できます。[参照]

特にマヌルネコやスナネコのような動物は、ゾウほど巨大ではありませんが、独特の外見や希少性からSNSや動物ファンとの相性がよく、「この動物を見るために行く」という目的を作りやすい存在です。[参照][参照]

神戸どうぶつ王国でもハシビロコウに力を入れており、専用の生態園を設けるだけでなく繁殖にも取り組んでいます。2025年には新たに2羽を迎え、アジア初の繁殖を目指す取り組みを公式に紹介しています。[参照]

「動物の種類」より「展示の近さと見せ方」が記憶に残る

同じ動物を飼っていても、展示方法によって来園者の印象は大きく変わります。

神戸どうぶつ王国は、レッサーパンダ、スマトラトラ、スナドリネコ、ハシビロコウなどについて、それぞれ生息環境を意識した専用エリアを設けています。園内には熱帯の森、アジアの森、アフリカの湿地、ロッキーバレーなど、地域や生態系を意識したエリアがあります。[参照]

神戸新聞も、同園が成長した背景として、レッサーパンダなどを手が届きそうなほど近くで見られる展示や、鳥を来園者の頭上近くに飛ばす演出など、動物の「見せ方」を工夫してきたことを紹介しています。前身の神戸花鳥園時代の2013年度には25万人だった入園者が、2018年度には88万人まで増えました。[参照]

つまり、単純に動物を増やしたこと以上に、「目の前で何が起きるのか」という体験設計が成功したと考えることができます。

神戸どうぶつ王国は全天候型という強みが大きい

神戸どうぶつ王国には、都市型レジャー施設として非常に強い特徴があります。広大なグラスハウスを中心とした全天候対応型の施設であることです。

公式には15,000平方メートルのグラスハウスと約10,000平方メートルの屋外エリアを備えると説明されています。[参照]

一般的な屋外動物園では、雨の日、真夏、真冬には「今日はやめておこう」となりやすい一方、屋内展示が多ければ天候による来園のハードルを下げられます。家族連れにとっては特に大きなメリットです。

さらに神戸どうぶつ王国は神戸市中央区のポートアイランドにあり、都市部からアクセスしやすいという立地上の強みもあります。神戸新聞でも、運営側が三宮や神戸空港からのアクセスの良さを集客上の強みとして挙げています。[参照]

那須どうぶつ王国は広大な自然そのものがアトラクションになる

一方の那須どうぶつ王国は、神戸とは逆に広大な自然環境を強みにしています。

公式によれば、敷地は東京ドーム約10個分で、「王国タウン」と「王国ファーム」の2エリアに分かれ、600頭以上の動物が暮らしています。[参照]

王国タウンでは屋内外の動物展示を楽しみ、王国ファームでは那須高原の自然を感じながら動物やパフォーマンスを楽しめるため、都市部の動物園とは違う「高原のテーマパーク」的な一日を過ごせます。[参照]

つまり那須どうぶつ王国の場合、キリンやゾウがいなくても、広大な景観、動物との距離、珍しい動物、ショーを合わせた一日型レジャーとして成立しています。

「子ども向け」だけではなく大人の動物ファンも呼び込める

大型動物を中心とする伝統的な動物園では、ファミリー層が主要客になりやすい傾向があります。しかし神戸・那須の両どうぶつ王国は、動物そのものを目的に訪れる大人にも訴求しやすい施設です。

例えばハシビロコウ、マヌルネコ、スナネコ、レッサーパンダ、コツメカワウソなどは、写真・動画との相性がよく、特定の動物にファンが付くことがあります。

その結果、「子どもを動物園へ連れて行く」という需要だけでなく、「自分の好きな動物を見に行く」「写真を撮りに行く」「新しい展示ができたから再訪する」という成人客の需要も取り込みやすくなります。

SNS時代では大型動物だけがスターではない

現在の動物園集客ではSNSとの相性も無視できません。大型で迫力のあるゾウやキリンが必ずしも最も拡散されやすいとは限らず、小型でも表情や動きに特徴がある動物が人気になることがあります。

丸い顔のマヌルネコ、砂漠に暮らすスナネコ、独特の立ち姿を持つハシビロコウ、水中を活発に動くカワウソなどは、短い動画や写真でも特徴が伝わりやすい動物です。

そのため、「有名な大型動物を何種類飼っているか」から「誰かに話したくなる動物や体験が何個あるか」へ、集客のポイントが変化していると考えると、どうぶつ王国型施設の人気を理解しやすくなります。

大型動物を飼わないことには運営上のメリットもある

ゾウ、キリン、サイ、カバなどの大型動物は魅力的ですが、飼育には非常に広い施設、大量の餌、頑丈な設備、専門的な管理などが必要になります。

そのため、限られた敷地や設備投資を大型動物数種に集中させるのではなく、中小型の多様な動物、ふれあい設備、パフォーマンス会場、自然環境を再現した展示などへ振り向けるという施設設計も合理的です。

もちろん大型動物を飼育しない理由を単純にコストだけで説明することはできませんが、結果としてどうぶつ王国型の施設は、一般的な総合動物園とは違う個性を作ることができます。

年間50万人という数字は「大型動物がいなくても異例」ではない

那須どうぶつ王国は2025年4月に開園以来の累計来園者1,000万人を達成しました。報道によると、1998年の開園から28年目での達成で、東日本大震災やコロナ禍の時期を除けば年間約50万人が来園しているとされています。[参照]

神戸どうぶつ王国についてはさらに多く、2018年度に88万人を記録しています。神戸市内の王子動物園が2018年に113万人だったことを考えても、有料施設である神戸どうぶつ王国の集客力はかなり高いといえます。[参照]

この実績を見ると、「ゾウやキリンがいないのになぜ50万人も来るのか」というより、「大型動物以外の魅力を一日分の体験として組み立てることに成功したから、多くの人が来る」と考える方が実態に近いでしょう。

まとめ:どうぶつ王国の人気は「大型動物の数」ではなく体験密度の高さにある

神戸どうぶつ王国や那須どうぶつ王国が高い集客力を持つ理由は、ゾウ、キリン、サイといった大型動物の代わりになる単一のスター動物がいるからではありません。

大きな理由は、動物との距離が近い展示、餌やりやふれあい、動物本来の能力を見せるパフォーマンス、ハシビロコウ・マヌルネコ・スナネコなど特徴的な動物、写真を撮りたくなる展示、家族でも大人だけでも楽しめる施設設計を組み合わせていることです。

神戸どうぶつ王国は全天候型の屋内施設と都市部からのアクセスの良さが強く、那須どうぶつ王国は東京ドーム約10個分という高原の広大な環境そのものが魅力になっています。両園は同じ「どうぶつ王国」という名称でも、それぞれ異なる立地の強みを生かしています。[参照][参照]

そして神戸どうぶつ王国では前身施設時代の年間25万人から2018年度には88万人まで入園者を伸ばした実績があります。動物の種類そのものよりも「どう見せるか」「どれだけ近く感じてもらうか」を磨いたことが成長につながったと報じられています。[参照]

つまり現代の動物園では、ゾウやキリンがいることは確かに大きな魅力ですが、それが年間50万人を集めるための必須条件ではありません。「動物を見る施設」から「動物を近くで体感し、一日楽しむ施設」へ価値を広げたことこそ、神戸どうぶつ王国と那須どうぶつ王国が大型動物中心ではなくても人気を維持できる最大の理由といえます。

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