ジェット旅客機が主流になった現在の日本でも、定期旅客便としてプロペラ機に乗れる路線は数多く残っています。2026年9月時点では、ATR42・ATR72、DHC-8-400、ドルニエ228などのターボプロップ旅客機が北海道、伊豆諸島、九州・奄美、沖縄などの地域路線を中心に活躍しています。特に、保有する定期旅客機がすべてターボプロップ機で構成されている航空会社を選べば、ジェット機へ変更される可能性をかなり低くできます。一方、2026年現在、日本の定期旅客便でレシプロエンジンの固定翼旅客機に乗ることは基本的にできません。ただし、セスナなどのレシプロ機による遊覧飛行なら現在も体験できます。ここでは、プロペラ機を目的に旅をする場合に狙いやすい航空会社・路線と、ターボプロップとレシプロの違いを整理します。
- 2026年の日本でもプロペラ旅客機は現役
- 「どの便を選んでもプロペラ機」を狙うなら航空会社で選ぶ
- 特に分かりやすいのが北海道エアシステム(HAC)
- 鹿児島・奄美方面ならJACでATRを体験しやすい
- 19人乗りの小型プロペラ機なら調布-伊豆諸島が個性的
- 天草エアラインならATR42「みぞか号」に乗れる
- 長崎・九州ならオリエンタルエアブリッジも全機プロペラ
- トキエアも2026年はATRだけで運航
- 沖縄の島々ではRACのDHC-8-400も現役
- ANAのDHC-8-400もまだ乗れるが「路線だけで100%」とは考えない方がよい
- 本当に「確実」と言える路線はある?
- プロペラ機の乗り心地はジェット機とどう違う?
- ATR42・ATR72・DHC-8・ドルニエならどれが一番面白い?
- ターボプロップとレシプロ機は何が違う?
- 2026年の日本にレシプロエンジンの定期旅客機はある?
- レシプロ機そのものなら遊覧飛行で乗れる
- プロペラ機体験を目的にするならおすすめは3タイプ
- 予約時は「運航会社」と「機種コード」を確認する
- まとめ:2026年もプロペラ定期便は豊富、レシプロは遊覧飛行が現実的
2026年の日本でもプロペラ旅客機は現役
「プロペラ機」というと昔の飛行機という印象を持つ人もいますが、現在の地域航空で使われているATR42-600やATR72-600、DHC-8-400などは比較的新しい設計の機体です。
これらはプロペラを回して飛ぶ点ではレシプロ機と似ていますが、エンジン内部ではピストンではなくガスタービンを使います。この方式をターボプロップと呼びます。
例えば日本エアコミューター(JAC)は、現在ATR42-600とATR72-600を運航しており、公式にもATRを「ターボプロップ機、いわゆるプロペラ機」と説明しています。[参照]
ATR42-600は48席、JACのATR72-600は70席で、短距離路線や離島路線に適した性能を持っています。[参照]
「どの便を選んでもプロペラ機」を狙うなら航空会社で選ぶ
プロペラ機への搭乗そのものが目的なら、特定の便名だけを探すよりも、定期旅客用の保有機材がすべてターボプロップ機である航空会社を選ぶ方法が分かりやすいでしょう。
2026年時点で代表的なのは、北海道エアシステム(HAC)、日本エアコミューター(JAC)、天草エアライン(AMX)、新中央航空、オリエンタルエアブリッジ(ORC)、琉球エアーコミューター(RAC)、トキエアなどです。
| 航空会社 | 主なプロペラ機 | 特徴 |
|---|---|---|
| 北海道エアシステム(HAC) | ATR42-600 | 北海道・北東北の地域路線 |
| 日本エアコミューター(JAC) | ATR42-600、ATR72-600 | 鹿児島・奄美など離島路線が中心 |
| 天草エアライン(AMX) | ATR42-600 | 天草-福岡など |
| 新中央航空 | ドルニエ228-212 | 調布-伊豆諸島、19席の小型機 |
| オリエンタルエアブリッジ(ORC) | ATR42-600、DHC-8-400 | 長崎離島・九州など |
| 琉球エアーコミューター(RAC) | DHC-8-400カーゴコンビ | 沖縄県内の離島路線が中心 |
| トキエア | ATR72-600、ATR42-600 | 新潟を拠点とする地域路線 |
ただし航空券の予約時に表示された機材についても、整備や運航上の理由で変更される可能性があります。航空会社自身も機材変更の可能性を案内しているため、航空旅行で「100%絶対」を保証することはできません。
特に分かりやすいのが北海道エアシステム(HAC)
プロペラ機に初めて乗る場合、有力な選択肢の一つが北海道エアシステムです。
HACは2026年4月時点でATR42-600を4機保有しており、札幌(丘珠)を中心に函館、釧路、女満別、利尻、奥尻、根室中標津、三沢、秋田などへ運航しています。函館-奥尻線もあります。[参照]
つまりHAC運航便を選べば、基本的にはATR42-600に乗ることになります。48席の小型機なので、大型ジェットとはかなり違う地域航空らしい雰囲気を体験できます。
例えば札幌(丘珠)-釧路、札幌(丘珠)-函館、函館-奥尻などは、プロペラ機の搭乗そのものを旅行目的に組み込みやすいでしょう。
鹿児島・奄美方面ならJACでATRを体験しやすい
日本エアコミューターも、プロペラ機を目的に乗るには非常に分かりやすい航空会社です。
JACは公式サイトで、現在ATR600シリーズを使って鹿児島県の離島を中心に伊丹、但馬、出雲、隠岐、松山、福岡、沖縄などを結んでいると説明しています。[参照]
2026年時点で公式に案内されている路線には、鹿児島-屋久島、鹿児島-種子島、鹿児島-喜界島、鹿児島-奄美大島、鹿児島-徳之島、鹿児島-沖永良部、鹿児島-与論、奄美大島-喜界島、奄美大島-徳之島、徳之島-沖永良部などがあります。[参照]
特に鹿児島-屋久島などは離島旅行と組み合わせやすく、「プロペラ機に一度乗ってみたい」という目的にも向いています。
19人乗りの小型プロペラ機なら調布-伊豆諸島が個性的
大型航空会社のプロペラ機よりさらに「小型機らしさ」を味わいたいなら、新中央航空はかなり特徴的です。
新中央航空は調布空港から大島、新島、神津島、三宅島への定期便を運航しており、使用機材としてドルニエ228-212を案内しています。[参照]
ドルニエ228-212は最大19人乗りの双発ターボプロップ機で、新中央航空の公式サイトでも定期路線に使用する機材として紹介されています。[参照]
例えば調布-新島や調布-神津島なら、羽田空港から大型機に乗る場合とはかなり異なる体験になります。客室が小さく、プロペラやエンジンをより近くに感じられるため、「プロペラ機らしい乗り心地」を重視する人には魅力的です。
天草エアラインならATR42「みぞか号」に乗れる
天草エアラインは2026年4月時点でATR42-600を1機保有しています。客席数は48席です。[参照]
通常はイルカをデザインした「みぞか号」が使用され、天草-福岡、天草-熊本、熊本-大阪(伊丹)などを運航しています。ATR42-600が搭載するPW127Mはターボプロップエンジンです。[参照]
なお天草エアラインは保有機が1機のため、定期点検中にはJACの共通事業機を借りて運航する場合があります。ただし2026年の代替運航でもJACのATR42-600が使用されており、少なくともこうしたケースでは代替機もプロペラ機です。[参照]
長崎・九州ならオリエンタルエアブリッジも全機プロペラ
オリエンタルエアブリッジ(ORC)もプロペラ機を狙いやすい航空会社です。
2026年時点の公式会社情報では、DHC-8-400を4機、ATR42-600を2機運航しています。どちらもターボプロップ機です。[参照]
路線は長崎-壱岐、長崎-五島福江、長崎-対馬、福岡-五島福江、福岡-対馬などの離島路線に加え、福岡-宮崎、福岡-小松、福岡-中部、中部-宮崎、中部-秋田などがあります。
ATR42とDHC-8-400のどちらになるかは便によって異なる可能性がありますが、ORCの現在の定期旅客用機材はいずれもプロペラ機なので、「ATRでもQ400でも構わないからプロペラ機に乗りたい」という場合には適しています。
トキエアも2026年はATRだけで運航
新潟を拠点とするトキエアも、プロペラ機を目的に選びやすい航空会社です。
2026年9月時点ではATR72-600を2機、ATR42-600を1機使用しており、公式サイトも両機をターボプロップ機として紹介しています。[参照]
2026年9月1日~10月24日の運航路線には新潟-札幌(丘珠)、新潟-名古屋(中部)、新潟-神戸があります。[参照]
したがって、この時点のトキエア定期便はATR42またはATR72となり、どちらに当たってもプロペラ機を体験できます。
沖縄の島々ではRACのDHC-8-400も現役
沖縄では琉球エアーコミューター(RAC)がDHC-8-400カーゴコンビを運航しています。JALの国内線機材案内でも、RACの運航機材としてDHC-8-400カーゴコンビが掲載されています。[参照]
2026年版のRAC公式カレンダーでもDHC-8-400カーゴコンビが同社の航空機として紹介されており、現在も島々を結ぶ主力機として使用されています。[参照]
南西諸島の景色とプロペラ機を組み合わせたい場合には、沖縄県内のRAC便も魅力的な選択肢です。
ANAのDHC-8-400もまだ乗れるが「路線だけで100%」とは考えない方がよい
ANAウイングスでも2026年現在DHC-8-400が現役で、ANAの国内線機種コードでは「DH4」として掲載されています。座席数は74席です。[参照]
DHC-8-400は伊丹発着などの地方路線で運航されています。ただしANAグループはジェット機も多数運航しているため、「この都市間を選べば何便を予約しても必ずプロペラ機」と単純化することはできません。
ANAで狙う場合は、航空券検索時の機種欄でDH4と表示されている便を選び、搭乗直前にも運航機材を確認する方法が確実です。
本当に「確実」と言える路線はある?
航空会社には、整備、機材故障、悪天候、運航計画変更などによる機材変更があります。そのため航空券購入時点から搭乗完了まで「絶対に100%この機種」と保証できる定期便は基本的にありません。
例えばJALも機材案内で「運航される機材や座席仕様などは予告なく変更となる場合がある」と案内しています。[参照]
ただし、航空会社が定期旅客用としてプロペラ機しか保有していない場合は事情が違います。HACならATR42、JACならATR42・ATR72、新中央航空ならドルニエ228、ORCならATR42・DHC-8-400というように、通常の機材変更が起きても別のプロペラ機になる可能性が高いためです。
したがって「機種そのものではなく、とにかくプロペラ旅客機に乗れればよい」という目的なら、こうした航空会社の自社運航便を選ぶのが最も確実性の高い方法です。
プロペラ機の乗り心地はジェット機とどう違う?
現在のATRやDHC-8は昔のプロペラ旅客機に比べて快適性が向上していますが、ジェット機との違いは十分感じられます。
特に分かりやすいのが音と振動です。離陸時にはプロペラの回転音が大きくなり、座席によっては細かな振動も伝わります。一方、巡航に入ると想像より落ち着いていると感じる人も多いでしょう。
また地域路線ではジェット機より低い高度を飛行することがあります。ANAもDHC-8-400のチャーターフライトを紹介した際、通常のジェット機より低い高度を飛ぶことを特徴として案内していました。[参照]
機体も小さいため、ターミナルから飛行機まで歩いて搭乗したり、プロペラを間近で見られたりすることがあります。大型ジェットとはかなり違った「飛行機に乗っている感」を楽しめます。
ATR42・ATR72・DHC-8・ドルニエならどれが一番面白い?
乗り心地を比較するなら、同じターボプロップでもかなり性格が違います。
ATR42は48席程度で比較的小型ですが、現代的な客室を備えています。ATR72は胴体を延長した大型版で、70~72席程度あります。
DHC-8-400はATRより速く、ORCの機体では巡航速度650km/hと案内されています。74席あり、プロペラ機ながらスピード感のある機種です。[参照]
一方、新中央航空のドルニエ228は19席しかありません。巡航速度は355km/hで、機体のサイズもかなり小さいため、「小型プロペラ機らしい体験」を最優先するなら特に個性的です。[参照]
ターボプロップとレシプロ機は何が違う?
外から見ると、どちらもプロペラが回っているので同じように見えます。しかしエンジンの仕組みは大きく異なります。
| ターボプロップ | レシプロ | |
|---|---|---|
| エンジン | ガスタービン | ピストンエンジン |
| プロペラ | あり | あり |
| 現在の日本の定期旅客便 | 多数あり | 基本的になし |
| 代表例 | ATR42、ATR72、DHC-8、ドルニエ228 | セスナ172など |
自動車に例えるなら、レシプロエンジンは自動車のガソリンエンジンに近く、シリンダー内でピストンが往復します。一方、ターボプロップはジェット機と同じガスタービンを利用し、その力の大部分をプロペラの回転に使います。
そのためATRやDHC-8は「ジェットエンジンではない古いプロペラ機」というより、ジェット旅客機と同じガスタービン技術を利用したプロペラ機と考える方が実態に近いでしょう。
2026年の日本にレシプロエンジンの定期旅客機はある?
2026年9月時点で確認できる日本の定期航空会社の運航機材を見る限り、一般旅客が航空券を買って乗れる国内定期路線で、固定翼のレシプロ旅客機を運航している航空会社は見当たりません。
小規模な地域航空会社でも、新中央航空はドルニエ228というターボプロップ機、天草エアラインはATR42、HACはATR42、トキエアはATR42・ATR72を使用しています。国土交通省のコミューター航空事業者情報でも、新中央航空の定期便はドルニエ228などとして掲載されています。[参照]
つまり、「羽田や地方空港から定期便の航空券を買い、昔ながらのピストンエンジン旅客機に乗る」という体験は、現在の日本では非常に難しい状況です。
レシプロ機そのものなら遊覧飛行で乗れる
定期旅客便に限定しなければ、レシプロエンジンのプロペラ機へ乗る方法は残っています。
例えば朝日航空は八尾空港を拠点にセスナ172による遊覧飛行を案内しています。セスナ172は代表的な単発レシプロ機で、大阪・神戸・京都・奈良方面などの遊覧飛行に使用されています。[参照]
第一航空でも遊覧飛行についてセスナ機を選べる案内があります。[参照]
したがって「ターボプロップではなく、ピストンが動く本当のレシプロ・プロペラ機の音や振動を体験したい」という目的なら、定期旅客便を探すよりセスナなどの遊覧飛行を探す方が現実的です。
プロペラ機体験を目的にするならおすすめは3タイプ
初めてなら、目的別に選ぶと分かりやすくなります。
現代的なターボプロップ旅客機を体験したい場合は、HACやJACのATR42がおすすめです。48席で小型ながら通常の航空会社らしい客室サービスを体験できます。
できるだけ小さな定期旅客機に乗りたい場合は、新中央航空の調布-伊豆諸島路線が特徴的です。19席のドルニエ228は、ATRやDHC-8より一段小さく、小型機らしさを強く感じられます。
レシプロエンジンを体験したい場合は、定期便ではなくセスナ172などの遊覧飛行を選ぶのが現実的です。
予約時は「運航会社」と「機種コード」を確認する
プロペラ機を目的に航空券を買う際には、「JAL便」「ANA便」というブランド名だけで判断しないことが重要です。コードシェア便では実際の運航会社が別会社の場合があるためです。
JAL系ならATR42-600はAT4、ATR72-600はAT7、RACのDHC-8-400はDH4などと表示されます。JALの予約案内でもHAC・JAC・RACの機材コードが掲載されています。[参照]
ANA系ではDHC-8-400がDH4、JACのATR42がAT4、ATR72がAT7、天草エアラインのATR42がATRなどとして案内されています。[参照]
航空券購入時と搭乗前日にもう一度機種欄を確認すれば、希望機材に乗れる確率をさらに高められます。
まとめ:2026年もプロペラ定期便は豊富、レシプロは遊覧飛行が現実的
2026年現在の日本でも、プロペラ旅客機は決して絶滅していません。ATR42・ATR72・DHC-8-400・ドルニエ228などのターボプロップ機が、北海道、伊豆諸島、九州、奄美、沖縄などで毎日のように定期運航されています。
「どの便を選んでもできるだけ確実にプロペラ機に乗りたい」なら、HAC、JAC、新中央航空、AMX、ORC、RAC、トキエアなど、定期旅客用機材をプロペラ機で構成している会社の自社運航便を選ぶのが有力です。
特に、普通の航空旅行として乗りやすいのはHACの札幌(丘珠)発着路線やJACの鹿児島-屋久島などです。より小型機らしい体験を求めるなら、19人乗りドルニエ228で運航される新中央航空の調布-大島・新島・神津島・三宅島線が個性的です。[参照]
一方、2026年時点の日本では、固定翼のレシプロエンジン旅客機による一般向け定期便は基本的にありません。現在の小型定期旅客機もほとんどがターボプロップ化されています。
ただしレシプロ機そのものが日本から消えたわけではありません。セスナ172などを使った遊覧飛行は現在も存在するため、「ピストンエンジン特有の音・振動まで体験したい」という場合には遊覧飛行という選択肢があります。つまり2026年の日本では、定期旅客便ならターボプロップ、レシプロを味わうなら遊覧飛行という分け方が最も現実的です。


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