高速道路を走っていると、道路脇や中央分離帯付近にカメラのような装置を何度も見かけ、「100kmほどの間に移動式オービスが10個もあったのでは?」と感じることがあります。しかし、高速道路で見かけるカメラ状の設備がすべて速度違反を撮影するオービスとは限りません。また、警察庁が現在導入している速度違反自動取締装置では、高速道路では主に「半固定式」、一般道路では「可搬式」が使われています。警察庁の2024年度資料でも、高速道路については半固定式、一般道路については可搬式という整理が示されています。[参照]そのため、高速道路上で短い区間に多数の箱やカメラを見かけた場合、それらがすべて稼働中の「移動式オービス」だったと考える必要はありません。
高速道路で現在使われているのは主に「半固定式オービス」
一般に「移動式オービス」という言葉は広い意味で使われますが、警察庁の資料では速度違反自動取締装置を固定式、半固定式、可搬式などに区別しています。
2024年度の警察庁資料では、高速道路について「半固定式:複数拠点での撮影端末装置の組替え運用が可能」、一般道路について「可搬式:車両の停止場所の確保が困難な通学路・生活道路・ゾーン30等でも設置が可能」と説明されています。[参照]
つまり、三脚に載せた小型装置を警察官が道路脇へ持ち込む、いわゆる可搬式オービスについては、警察庁の現在の整理では主として一般道路向けです。高速道路で近年増えているのは、それとは少し違う半固定式の仕組みです。
半固定式オービスは「箱を複数置き、本体を移動させる」仕組み
半固定式オービスの特徴は、道路脇に装置を収容するための拠点を複数設置し、その中へ実際の撮影端末を移動させながら運用できる点です。
警察庁の行政事業レビューでは、半固定式について、複数の「カゴ」を設置し、その中の自動取締装置を定期的に置き換える方式だと説明しています。また、運転者からは箱の中に実際のカメラが入っているかどうか分かりにくいため、複数の設置場所で速度抑制効果を期待できるとしています。[参照]
この仕組みを理解すると、「100kmの間に何個もオービスらしい箱があった」という現象も不思議ではありません。設置拠点が10か所見えたとしても、その10か所すべてに同時に撮影装置が入っているとは限らないためです。
100kmで10個見つけても「10台の移動式オービス」とは限らない
高速道路を100km走行してカメラ状の設備を10個ほど見つけた場合、単純計算では約10kmごとに1個ということになります。しかし、それだけで「10台すべてが速度取締装置だった」と判断することはできません。
高速道路には速度取締装置以外にも、道路状況を確認する監視カメラ、交通量を把握する設備、ETC関連設備、渋滞・事故監視設備など、多数の道路設備があります。
また半固定式の設置拠点についても、外から見ただけでは内部に撮影端末が入っているか判断しにくいことが、この方式の特徴です。したがって「同じような箱をたくさん見た=全部稼働中のオービス」という理解は正確ではありません。
高速道路には従来型の固定式オービスも多数存在する
高速道路の速度取締りがすべて半固定式へ置き換わったわけではありません。従来から使用されてきた固定式の速度違反自動取締装置も存在します。
警察庁が2024年度の行政事業レビューで説明した時点では、高速道路における速度違反自動取締装置は約200基あり、固定式・ループコイル式の多くが耐用年数を超えているため、更新が課題となっているとされています。[参照]
そのため高速道路では、昔からある固定式設備と新しい半固定式設備の両方を目にする可能性があります。
そもそも「可搬式オービス」とはどんなもの?
可搬式オービスは、その名のとおり持ち運べる速度違反自動取締装置です。警察庁では、従来の速度取締りでは警察官や違反車両を安全に止めるためのスペースが必要だったことから、そのような場所を確保しにくい生活道路・通学路でも速度取締りを行えるよう導入を進めてきました。
警察庁の交通白書でも、生活道路や通学路など、速度測定・車両停止スペースを確保しにくい場所で可搬式速度違反自動取締装置を活用していると説明されています。[参照]
警察庁の2024年度資料に掲載された写真を見ると、可搬式は三脚などに載せて道路脇へ設置できる小型装置であるのに対し、高速道路向けの半固定式は道路脇の専用設備を利用する構造になっています。[参照]
オービスはどのように速度違反を記録する?
速度違反自動取締装置は、通過車両の速度を測定し、一定以上の速度違反車両について自動的に写真を撮影・記録する設備です。
警察庁は、自動取締装置のメリットとして、道路構造や天候などのため従来の取締りが難しい場所でも利用できること、警察官の配置が少ない深夜・早朝でも取締りが可能なこと、違反車両をその場で停止させる必要がないため交通流への影響が少ないことなどを挙げています。[参照]
高速道路ではその場で違反車両を安全に停止させることが難しいため、このような自動撮影方式には大きなメリットがあります。
「箱が空なら速度を出しても大丈夫」という考え方は危険
半固定式は、どの拠点に撮影端末が入っているのか外から判別しにくいことを前提とした仕組みです。そのため「あの箱は昨日空だった」「この区間には本体が1台しかないはず」といった情報を頼りに速度を上げるのは現実的ではありません。
さらに速度取締りはオービスだけではなく、パトカーや覆面パトカーなどによって行われる場合もあります。
したがって運転上はオービスの位置を探すより、その区間に表示されている最高速度を基準に走行する方が安全で確実です。特に高速道路では工事、雨、雪、事故、強風などによって通常より低い速度規制が実施されることがあります。
見かけた装置がオービスかどうか外観だけで断定しない方がよい
高速道路には非常に多くのカメラ・センサー・アンテナがあります。オービスに似た形の設備も珍しくありません。
例えば高い支柱に付いたカメラ、道路上を横切る構造物に付いたセンサー、路肩の箱型設備などを見ただけでは、交通監視設備なのか速度取締装置なのか一般のドライバーが確実に見分けることは困難です。
また半固定式については、警察庁自身が「カゴの中にカメラが入っているかどうかはドライバーから分かりにくい」と説明しています。[参照]外観だけで稼働状況を推測することは避けた方がよいでしょう。
まとめ:高速道路で10個見えても、すべてが稼働中の移動式オービスとは限らない
高速道路には速度違反自動取締装置が多数設置されていますが、100kmで10個ほどカメラ状の設備を見たからといって、それらがすべて「移動式オービス」だったとは限りません。
警察庁の現在の整理では、高速道路には主に「半固定式」の速度違反自動取締装置を導入しています。半固定式は複数の設置拠点を用意し、実際の撮影端末をその間で移動させて使用する方式です。そのため同じ区間に箱型の拠点が複数あっても、すべての箱に同時に撮影装置が入っているとは限りません。[参照]
一方、三脚などに載せて持ち運ぶ「可搬式オービス」は、警察庁の資料では主として一般道路、生活道路、通学路、ゾーン30などで利用する装置として位置付けられています。[参照]
高速道路には従来型の固定式オービスもあり、警察庁は2024年度時点で高速道路上の速度違反自動取締装置が約200基あると説明しています。[参照]さらに道路監視カメラや交通量計測設備など、オービスではない設備も多数あります。
したがって「100kmで10個見た」という状況は十分あり得ますが、10台の移動式オービスが100kmの区間で同時に速度取締りをしていた、とまでは言えません。半固定式はどこに撮影端末が入っているか分かりにくいこと自体が抑止効果につながる仕組みなので、装置の有無にかかわらず、その時点で表示されている最高速度を守って走るのが最も確実です。


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