観光ビザの外国人でも日本で家を買える?不動産購入・登記・住宅ローン・外為法の届出を解説【2026年版】

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日本では、外国人が不動産を購入する際に「永住権がなければ家を買えない」「観光目的の短期滞在では不動産を所有できない」と思われることがあります。しかし、2026年9月時点では、外国籍で日本に観光目的の短期滞在をしている人でも、原則として日本の土地・戸建て・マンションを購入し、所有権を取得することは可能です。不動産の所有資格と日本に在留するための資格は別の制度だからです。ただし、外国に住所を置いたまま購入する場合には不動産登記のための住所証明、国内連絡先、外為法に基づく報告など、日本居住者とは異なる手続きが必要になる場合があります。また、家を買っただけで日本に長期滞在できるようになるわけではありません。

観光目的の短期滞在でも日本の不動産は原則購入できる

日本には、一般の外国人について「日本の在留資格がなければ土地や建物を所有できない」とする包括的な規制はありません。そのため、日本国外に住んでいる外国人や、観光などの短期滞在で日本を訪れている外国人でも、通常の住宅やマンションを売買によって取得すること自体は可能です。

法務省が外国居住者による不動産登記について専用の手続きを設けていることからも、外国に住所を有する外国人が日本の不動産の所有権登記名義人になることが制度上想定されています。[参照]

例えば海外在住の外国人が旅行中に日本の中古マンションを見学し、自己資金で購入契約を締結して、その人自身の名義で所有権移転登記をすることも制度上は可能です。国籍や短期滞在という理由だけで一般的な住宅の所有が禁止されるわけではありません。

「家を買えること」と「日本に住めること」はまったく別

不動産購入で特に重要なのが、所有権と在留資格を切り離して考えることです。日本の家を所有しても、それによって在留期間が延長されたり、永住許可や就労資格を取得できたりするわけではありません。

例えば短期滞在で日本に入り、東京都内に5,000万円のマンションを購入したとしても、そのマンションの所有者になれることと、日本に長期間住み続けられることは別問題です。短期滞在の在留期間が終了すれば、別途適法な在留資格がない限り、その不動産を所有したまま日本を出国することになります。

「日本に家を買えば居住権がもらえる」という制度ではありません。自宅購入を日本移住の手段として考えている場合には、不動産購入とは別に、就労、経営・管理、配偶者、留学など本人の事情に合った在留資格が必要かを確認する必要があります。

外国に住所があっても所有権移転登記はできる

日本の不動産を買った場合、売買だけでなく法務局で所有権移転登記を行うことが重要です。外国に住所を有する外国人についても、法務省が住所証明情報の取扱いを定めています。[参照]

日本に住民票がない外国人の場合、本国や居住国の政府機関が発行する住所証明書などを利用します。適切な公的住所証明を取得できない場合には、一定の条件のもと、公証人が認証した宣誓供述書などが住所証明情報として認められるケースがあります。

必要書類は国によって異なり、外国語の書類について日本語訳が必要になることもあります。そのため海外居住者による購入では、売買契約前から外国人登記に対応できる司法書士へ確認しておくと手続きがスムーズです。

海外在住の所有者は「国内連絡先」の登記も確認が必要

2024年4月1日以降、不動産の所有権登記について制度が変更され、海外に住所を有する所有者については、日本国内における連絡先となる者の氏名・住所なども登記事項となりました。[参照]

国内連絡先には、日本にいる親族などの個人のほか、一定の場合には法人などを設定することもできます。法務省の案内では、国内連絡先となる者がいない場合には「国内連絡先となる者がない旨」を申し出るための取扱いも設けられています。

したがって、日本在住の知人がいなければ不動産を購入できないというわけではありません。ただし登記実務では必要な情報・書類を整理する必要があるため、海外居住者が買主になることを司法書士へ最初から伝えておくことが重要です。

2026年4月から非居住者の不動産取得に関する外為法の報告が拡大

観光目的で日本を訪れている外国人が不動産を購入するときに、2026年現在特に注意したいのが外国為替及び外国貿易法(外為法)の報告制度です。

財務省によると、2026年4月1日以降に非居住者が日本国内の不動産を取得した場合、原則として取得目的を問わず、取得後20日以内に日本銀行を経由して財務大臣へ報告する制度となっています。金額や面積の大小にかかわらず報告対象となる旨も案内されています。[参照]

2026年3月31日以前は自己居住目的などに報告不要となるケースがありましたが、2026年4月1日以降は制度が改正されています。不動産そのものを取得する場合には、自己居住目的であっても報告対象になり得るため、過去の記事や古い不動産情報だけで判断しないことが大切です。

観光客は外為法上「非居住者」になる可能性が高い

外為法でいう「居住者・非居住者」は、国籍だけで判断するものではありません。財務省は、外国人について原則として日本に住所・居所を有しないものと推定し、日本国内の事務所に勤務する人や、入国後6か月以上経過した人など一定の場合には居住者として扱う考え方を案内しています。[参照]

そのため、海外に生活の本拠があり、数週間の観光目的で来日して不動産を購入する人は、一般には外為法上の非居住者として手続きを検討することになります。

実際の該当性は滞在状況などによって異なるため、外為法の報告が必要か不明な場合には、不動産会社、司法書士だけでなく、財務省・日本銀行の案内も確認すると安心です。

外為法の報告は「購入許可」とは違う

外為法の報告義務があるからといって、「外国人は政府から許可をもらわなければ家を買えない」という意味ではありません。

一般的な住宅購入では、まず売買契約や所有権移転が行われ、そのうえで非居住者に該当する場合には定められた期限内に報告を行うという関係です。財務省によれば、報告は取得者本人だけでなく、居住者である代理人、例えば不動産仲介業者等から提出することも可能です。[参照]

ただし、特殊な安全保障上の区域などでは別の法律による届出制度もあるため、購入する土地の場所によって確認事項が増えることがあります。

自衛隊施設などの近くでは重要土地等調査法にも注意

日本では安全保障上重要な施設や国境離島などの周辺について、重要土地等調査法による制度があります。内閣府は、防衛関係施設などの周囲おおむね1,000メートルや国境離島等の一定区域を「注視区域」「特別注視区域」として指定しています。[参照]

特別注視区域内にある一定規模以上の土地・建物について所有権移転などの契約を締結する場合には、契約当事者双方による事前届出が必要です。2026年時点では、対象となる土地について1筆200平方メートル以上、建物について1個の延床面積200平方メートル以上などの基準があります。[参照]

これは外国人だけを対象とする制度ではなく、日本人も含む契約当事者に適用されます。一般的な都市部のマンション購入ですべて必要になる制度ではありませんが、対象区域の物件を購入する場合は確認が必要です。

外国人による土地取得規制は今後変わる可能性がある

外国人による日本の不動産取得をめぐる制度は、2026年現在も見直しが進められています。国土交通省などは外国人による土地取得の実態把握を進め、安全保障の観点などから新たな法的ルールの在り方を検討しています。[参照]

したがって「外国人は日本の不動産を完全に自由に買える」という説明も将来にわたり固定されたものではありません。2026年9月時点では一般的な住宅の外国人取得を一律禁止する制度はありませんが、取得情報の把握や安全保障上のルールについて政策変更があり得ます。

実際に購入する際には、契約時点の最新制度を確認することが重要です。

最大のハードルは購入資格より住宅ローンになりやすい

現金で購入できる場合には、在留資格がない外国人でも売買・登記を進められるケースがあります。一方、銀行から住宅ローンを借りようとすると状況は大きく変わります。

住宅ローンでは、日本国内での安定した収入、在留資格、居住年数、永住許可などを審査条件にする金融機関が多く、短期滞在者が一般的な住宅ローンを利用するのはかなり難しいのが実情です。

例えば住宅金融支援機構の「フラット35」は、2026年4月1日時点の利用条件として、日本国籍の人、永住許可を受けている人、または特別永住者を申込対象としています。[参照]したがって観光目的の短期滞在者は通常この条件を満たしません。

「買える」と「ローンを組める」を混同しないことが重要

例えば海外在住の外国人が日本で3,000万円のマンションを購入するとします。3,000万円を自己資金で支払えるのであれば、外国住所の証明や外為法上の報告などを適切に行って取得できる可能性があります。

しかし「頭金300万円だけ用意して、残り2,700万円を日本の銀行から35年住宅ローンで借りたい」となると、短期滞在者では融資審査の壁が非常に高くなります。

そのため、不動産会社から「外国人でも購入できます」と説明された場合も、それは所有権を取得できるという意味なのか、ローンまで利用できるという意味なのかを分けて確認する必要があります。

購入すると不動産取得税・固定資産税などもかかる

外国人だから日本の不動産税が免除されるわけではありません。不動産を購入すると、契約・登記に伴う印紙税や登録免許税、不動産取得税などが発生し、所有後は原則として固定資産税・都市計画税などの負担も生じます。

海外に住みながら日本の不動産を所有する場合には、税金の通知を受け取り、期限内に納付できる仕組みを整えておく必要があります。東京都では、海外居住者について不動産取得税の納税に関する手続きを行うための納税管理人を設定するよう案内しています。[参照]

固定資産税などについても自治体ごとに納税管理人の手続きが必要になる場合があります。物件価格だけでなく、購入諸費用と保有中の税負担まで計算しておくことが大切です。

購入した家を賃貸するなら税務もさらに重要になる

海外在住者が日本の住宅を購入し、自分が滞在していない期間に賃貸へ出すこともあります。この場合には単に住宅を所有するだけでなく、日本国内で不動産所得が発生する可能性があります。

国税庁は、非居住者に日本国内の不動産貸付けによる所得がある場合、日本で確定申告が必要になることがあり、その場合には納税管理人を定める必要があると案内しています。[参照]

またマンションの場合には管理費・修繕積立金、戸建てなら建物の修繕費なども発生します。「旅行中に買って帰国すれば終わり」ではなく、その後何年も日本国内の資産を管理する必要があります。

実際に購入するときの流れ

海外在住の外国人が日本の住宅を現金購入する場合、おおまかな流れは日本人の不動産売買と大きく変わりません。

  1. 購入する物件を探す
  2. 重要事項説明を受ける
  3. 売買契約を締結する
  4. 手付金・残代金を支払う
  5. 住所証明書など登記書類を準備する
  6. 所有権移転登記を行う
  7. 必要に応じて外為法等の届出・報告を行う
  8. 不動産取得税・固定資産税などの納税体制を整える

海外の銀行口座から日本へ多額の購入資金を送金する場合には、銀行や不動産会社から資金の出所について確認を求められることがあります。これは外国人だからというだけではなく、金融機関や宅地建物取引業者がマネー・ローンダリング対策として本人確認や取引目的の確認を行うためです。

数千万円単位の国際送金を伴う場合は、契約直前になって送金できない事態を避けるため、利用する金融機関へ事前に確認しておくと安心です。

まとめ:観光目的の外国人でも日本の家は原則買えるが、購入後の手続きまで確認する

2026年9月時点では、観光目的の短期滞在で来日した外国人でも、原則として日本の一般的な住宅・マンション・土地を購入し、所有することができます。日本の不動産所有について、永住権や長期の在留資格を一律の購入条件とする制度はありません。

ただし、不動産を購入したからといって日本の在留資格が得られるわけではありません。短期滞在期間が終われば、不動産を所有したまま帰国することもあり得ます。日本への移住を目的としているなら、在留資格は別途検討する必要があります。

また外国に住所を置いたまま所有権登記をする場合には、住所証明情報や国内連絡先に関する登記手続きが必要です。法務省も外国居住の外国人向けに具体的な住所証明の取扱いを定めています。[参照]

さらに2026年4月1日以降は、外為法上の非居住者が日本の不動産を取得した場合、原則として目的を問わず取得後20日以内の報告が必要となる制度に変更されています。観光で短期間来日している海外居住者が購入するケースでは、特に確認しておきたい手続きです。[参照]

一方、実務上は「購入できるか」よりも「どう支払うか」が問題になりやすく、短期滞在者が日本の一般的な住宅ローンを利用するのは容易ではありません。例えばフラット35は外国籍の場合、永住者または特別永住者であることを条件としています。[参照]

つまり、現金などで購入資金を用意でき、登記・外為法・税務などの手続きを適切に行えるのであれば、観光目的で来日した外国人でも日本の家を購入することは可能です。ただし、購入する物件が重要土地等調査法の対象区域にないか、海外居住者としてどの届出が必要かについて、契約前に不動産会社・司法書士・税理士などへ確認して進めるのが安全です。

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