進学や通学のため実家を離れて暮らしている学生の場合、住民票は実家の都道府県に残したまま、実際には東京都など別の地域で生活していることがあります。こうしたケースでパスポートを新規申請するときに重要になるのが、住民票上の住所だけでなく、現在生活している場所を基準に申請できる「居所申請」という仕組みです。
現在はパスポートの新規申請もマイナポータルからオンラインで行えるようになっています。ただし、住民票がある都道府県以外で申請・受領したい場合には条件があるため、単純に好きな都道府県の窓口を選択できるわけではありません。特に学生は、通学を理由とした居所申請に該当するかを確認することがポイントです。
パスポートは原則として住民登録している都道府県で申請する
国内でパスポートを申請する場合、基本となるのは住民登録している都道府県です。例えば、住民票が長野県にある人であれば、通常は長野県の対象窓口で申請することになります。
一方、東京都は、東京都に住民登録をしていない人でも、学生・生徒、長期出張者、単身赴任者など、一定の条件を満たして東京都に継続して居住している場合には東京都で申請できる制度を設けています。これが居所(きょしょ)申請です。
つまり、「出身地がどこか」よりも、「住民票がどこにあるか」「現在どこに居住しているか」「その居住理由が居所申請の条件に当てはまるか」が重要になります。東京都の案内では、学生・生徒も居所申請ができる対象として明記されています。[参照:東京都・東京都に住民登録をしていない方の申請(居所申請)]
長野県に住民票がある学生でも東京で申請できる場合がある
例えば、実家が長野県にあり住民票も長野県のままだけれど、大学や専門学校への通学のため東京都内のアパートで生活しているケースを考えてみましょう。このような学生は、東京都が定める条件を満たせば、東京都を「居所」としてパスポートを申請できる可能性があります。
東京都の案内では、学校教育法に規定する学校、専修学校、各種学校に通学しており、東京都に居所がある学生・生徒が対象とされています。したがって、「住民票が長野県だから絶対に長野県まで行かなければならない」というわけではありません。
なお、単に東京へ旅行している、友人宅へ短期間泊まっているといった事情だけで自由に東京都を申請先にできる制度ではありません。居所申請は、実際に東京都内にある程度継続して居住していることなどが前提になります。
学生の通学理由ならオンラインの居所申請にも対応
パスポート制度のオンライン化により、新規申請についてもマイナポータルから手続きできるようになっています。さらに東京都では、居所申請のうち通勤・通学を理由とするケースについてオンライン申請が可能と案内しています。
そのため、住民票を長野県に残したまま東京都で通学生活をしている学生についても、条件を満たせばマイナポータルを利用して東京都への居所申請を行える可能性があります。東京都のオンライン申請案内でも、通勤・通学以外の居所申請など、一部のケースはオンライン申請できないことが示されています。[参照:東京都・オンライン(電子)申請について]
ただし、オンライン申請だから居所を証明する手続きが不要になるわけではありません。通常の住所地とは異なる東京都で申請する以上、東京都で生活していることや学生であることを確認するための書類が必要になります。
東京都で居所申請する学生が確認しておきたい書類
東京都が案内している学生・生徒の居所申請では、住民票の写しや学生証・在学証明書、東京都内の居所を確認できる資料などがポイントになります。オンライン申請の場合には、学生証または在学証明書や、必要に応じて居所を確認できる書類を添付します。
例えば東京都内で一人暮らしをしている大学生なら、写真付き学生証に現在の居所が記載されていない場合、賃貸借契約書や居所宛ての郵便物、公共料金の請求書などが居所を確認する資料として考えられます。必要書類の詳細は申請時点で変更される可能性もあるため、東京都の最新案内を確認することが大切です。
| 確認する項目 | 例 |
|---|---|
| 住民登録地 | 長野県 |
| 現在の居所 | 東京都 |
| 東京に住んでいる理由 | 大学・専門学校などへの通学 |
| 学生であることの確認 | 学生証・在学証明書など |
| 東京都での居所確認 | 賃貸借契約書・居所宛て郵便物など |
住民票の写しについても条件があります。東京都の居所申請案内では、申請日前6か月以内に発行されたものが必要とされており、個人番号(マイナンバー)の記載がないものを用意するよう案内されています。
パスポートの受け取りは申請時に選択した窓口が重要
オンライン申請をした場合、新しいパスポートが自宅へ郵送されてくるわけではありません。交付時には本人が窓口へ出向いて受け取る必要があります。東京都は、オンライン申請したパスポートについて、本人が受取窓口として選択したパスポートセンターへ来所するよう案内しています。
したがって、東京都への居所申請として適切にオンライン申請し、東京都内の対象窓口を受取窓口として手続きを進めた場合には、住民票が長野県にあるという理由だけで長野県まで受け取りに行く仕組みではありません。重要なのは、最初から東京都での居所申請として条件を満たした申請を行うことです。
逆に、長野県を申請先として手続きを完了してから、受け取りだけを都合に合わせて東京都の窓口へ変更する、といった考え方とは区別する必要があります。申請する都道府県と受取窓口を確認してからオンライン手続きを進めると安心です。
「出身地」「本籍」「住民票」「居所」はそれぞれ別のもの
パスポート申請で混乱しやすいのが、出身地、本籍地、住民票上の住所、現在住んでいる場所の違いです。「長野県出身だから長野県でしかパスポートを作れない」というルールではありません。
例えば本籍が長野県、住民票も長野県、現在の居所が東京都という学生であれば、通常の住所地申請なら長野県が基本となりますが、東京都での居所申請の条件を満たせば東京都で手続きできる可能性があります。東京都も、初めてパスポートを申請する人について、東京都に住民登録がなくても学生・生徒などで都内に一時的に居住している場合は東京都で申請できる場合があると案内しています。[参照:東京都・有効なパスポートをお持ちでない方]
この違いを理解しておくと、「実家の県まで申請や受け取りのために帰らなければならないのか」という疑問を整理しやすくなります。
申請前に確認しておくとスムーズなポイント
住民票とは異なる都道府県でパスポートを取得したい場合は、まず現在の居住状況が居所申請の対象になるか確認しましょう。特に学生の場合は、学校の種類、東京都内での居住実態、学生証・在学証明書、居所を確認できる書類などを準備できるかがポイントです。
また、マイナポータル上で申請を進める際には、申請先や受取窓口を流れで選択せず、実際に受け取りに行ける窓口になっているかを確認しておくことが大切です。パスポートは本人受領が原則なので、申請後の予定も含めて窓口を選ぶとよいでしょう。
制度や必要書類は変更される場合があります。申請直前には東京都旅券(パスポート)の公式案内やマイナポータルに表示される最新情報を確認してください。[参照:東京都旅券(パスポート)公式案内]
まとめ:住民票が県外でも学生なら東京で申請・受領できる場合がある
パスポートは原則として住民登録地で申請しますが、通学などの事情で東京都に継続して住んでいる学生には「居所申請」という制度があります。条件を満たす学生であれば、住民票が長野県など他県に残っていても東京都でパスポートを申請できる場合があります。
さらに、通学を理由とする居所申請はオンライン申請にも対応しています。東京都への居所申請として手続きを行い、東京都内の受取窓口を選択して申請した場合には、その指定された窓口で本人がパスポートを受領する流れになります。
ポイントは「住民票がどこにあるか」だけで判断せず、現在の東京都での生活が居所申請の条件を満たしているかを確認することです。学生証や在学証明書、東京都での居所を確認できる書類などを準備し、最新の公式案内を確認したうえで申請するとスムーズです。


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