CC-Linkの配線図や端子台を見ると、「DA」「DB」「DG」という記号が並んでいます。初めてCC-Linkを扱う場合、DAとDBが送信・受信を表しているようにも見えますが、一般的なTX・RXのような意味ではありません。
CC-Linkは専用ケーブルを使って機器間を接続するフィールドネットワークで、基本となる通信線がDA・DB、信号の基準となる線がDGです。さらにシールド線を接続するSLDやFGなどもあり、正しく配線することが安定通信の重要なポイントになります。
CC-LinkのDA・DB・DGの意味を最初に整理
CC-LinkのDA・DB・DGは、単なる任意の線番というより、CC-Link機器や専用ケーブルで共通して使われる端子・信号線の名称として理解すると分かりやすくなります。
| 記号 | 役割 | 配線の基本 |
|---|---|---|
| DA | 差動通信を構成する信号線の一方 | 各局のDA同士を接続 |
| DB | 差動通信を構成する信号線のもう一方 | 各局のDB同士を接続 |
| DG | データグラウンドとなる信号基準線 | 各局のDG同士を接続 |
| SLD | シールド | 指定されたシールド端子へ接続 |
| FG | フレームグラウンド | 機器の仕様に従って接地 |
特に重要なのは、DAが送信専用、DBが受信専用という構成ではないことです。DAとDBの2本を一組として差動信号を扱うため、両方が通信に必要です。
DAとDBはなぜ2本必要なのか
CC-LinkではDAとDBの電位差を利用する差動方式で通信します。単純に1本の線の電圧だけを見て0と1を判定する方式ではなく、2本の信号線を組み合わせて情報を伝えるのがポイントです。
工場ではインバータ、サーボアンプ、電磁接触器など、電気的なノイズを発生させる機器が多数使われます。差動伝送は外来ノイズの影響を抑えながら通信するために有効で、CC-LinkがFAネットワークとして使われるうえで重要な仕組みです。
そのため配線するときは、マスタ局のDAを次の局のDAへ、DBをDBへと接続します。DAとDBを逆に接続しないことが基本です。
DGはアース線ではなくデータグラウンド
DGの「G」を見て、接地用のアース線だと思ってしまうことがあります。しかしCC-LinkにおけるDGはData Ground(データグラウンド)として扱われる線で、DA・DBによる通信の基準電位をそろえる役割があります。
つまりDGと、保護接地などに使用されるFGは同じものではありません。「Gが付いているから盤のアース端子へ直接つなげばよい」という判断は避け、CC-Link機器の接続仕様に従う必要があります。
実際の専用ケーブルではDA・DB・DGに加えてシールドが設けられています。端子台にもDA、DB、DG、SLDなどが用意されていることが多いため、それぞれの役割を区別して配線します。
実際のCC-Link配線はDA同士・DB同士・DG同士を接続する
例えばPLC側のCC-Linkマスタ局から、リモートI/O、インバータという順番で接続するとします。基本的な考え方は次のようになります。
マスタ局 DA → リモートI/O DA → インバータ DA
マスタ局 DB → リモートI/O DB → インバータ DB
マスタ局 DG → リモートI/O DG → インバータ DG
ここでDAをDBにつないだり、DGを接続し忘れたりすると正常に通信できない原因になります。また、ケーブルの種類、配線方法、局間距離、総延長、通信速度などにもCC-Linkの仕様があります。
現場で「同じ3本の線だから」と色だけを頼りに接続するのではなく、ケーブルのDA・DB・DGと機器側端子の表示を一つずつ確認するのが安全です。
DA・DBのAとBはプラス・マイナスと考えてよい?
差動通信なのでDA・DBを便宜的に「+側」「-側」のように説明することがありますが、施工時にはDAはDA、DBはDBという端子名称のまま覚えるほうが確実です。
機器や通信規格によってA/B、+/-の名称と極性の対応関係が異なる場合があるからです。他のRS-485系ネットワークで覚えたA/Bの感覚を、そのままCC-LinkのDA/DBに当てはめるのはおすすめできません。
例えば既設設備を修理するときも、「これは差動通信だから極性はたぶんこちら」と推測するより、対象となるPLC、リモート局、インバータなどのマニュアルに記載されたDA・DB・DGの端子表記を一致させるのが基本です。
CC-Link専用ケーブルの色とDA・DB・DG
CC-Linkでは規格に適合した専用ケーブルを使用します。ケーブルメーカーの仕様では、DA・DB・DGに対応する芯線の識別色が示されています。
代表的なCC-Link Ver.1.10対応ケーブルでは、DAが青、DBが白、DGが黄として識別される製品があります。ただし、「DAは絶対にこの色」と色だけで断定して施工するのではなく、使用しているケーブルの仕様書を確認してください。既設設備では異なるケーブルや施工ルールが採用されている可能性もあります。
特に改造工事では、盤内の線色と通信ケーブル内部の芯線色が必ずしも同じ考え方で管理されているとは限りません。端子記号と導通を確認したうえで作業するほうが確実です。
SLDとFGは何のためにある?
CC-Linkの配線ではDA・DB・DGだけでなく、SLDという表示を見ることがあります。SLDはシールドに関係する端子で、通信ケーブルを外来ノイズから保護するために使用されます。
さらに機器によってFG(Frame Ground)が設けられています。CC-Linkの施工ではシールドや接地の処理も通信品質に影響するため、自己流で省略したり、DGとFGを同じものとして扱ったりするのは避けるべきです。
接地方法は対象機器やCC-Linkの仕様・施工マニュアルを確認してください。CC-Link協会(CLPA)ではCC-Linkの仕様や対応製品などの情報を公開しています。[参照] CC-Link協会(CLPA)
終端抵抗もCC-Linkでは重要
DA・DB・DGを正しく接続しても、それだけで必ず正常通信するとは限りません。CC-Linkではネットワークの両端に適切な終端抵抗を設けることが重要です。
終端抵抗は通信信号の反射を抑えるためのもので、指定された抵抗値・接続方法に従います。ネットワークの途中へむやみに追加したり、両端に必要な終端抵抗を付け忘れたりすると、通信異常の原因になる可能性があります。
「新しい局を追加したら通信エラーが出るようになった」という場合には、DA・DB・DGの誤配線だけでなく、終端抵抗の位置、ケーブル、通信速度に対する伝送距離、接続構成なども確認対象になります。
通信しないときに確認したいポイント
CC-Linkで通信異常が発生した場合は、闇雲に機器を交換する前に基本的な配線条件から確認すると原因を絞り込みやすくなります。
- DAが各機器のDAへ接続されているか
- DBが各機器のDBへ接続されているか
- DAとDBを取り違えていないか
- DGが正しく接続されているか
- 専用ケーブルを使用しているか
- シールド処理・接地方法が仕様どおりか
- ネットワーク両端の終端抵抗が適切か
- 通信速度と総延長・局間距離が仕様範囲内か
- 局番や通信設定に重複・誤りがないか
例えば設備改造後に突然通信できなくなった場合、ソフトウェア設定だけでなく、追加した機器付近でDAとDBを逆にした、DGが端子に入っていない、終端抵抗の位置を変更していない、といった物理層の問題も候補になります。
なお、CC-Linkには世代や仕様の違いがあり、接続する製品によって条件も異なります。実際の施工・保守では対象機器のメーカー取扱説明書とCC-Linkの仕様を優先してください。
まとめ|DA・DBは差動通信線、DGはデータグラウンド
CC-LinkのDA・DB・DGを理解するときは、DAとDBが通信信号を伝える一対の差動信号線、DGがその通信におけるデータグラウンドと整理すると分かりやすくなります。
DAが送信、DBが受信という意味ではありません。またDGも一般的な保護接地用アースと同じ意味ではないため、FGやSLDとは区別して考える必要があります。
配線の基本はDA→DA、DB→DB、DG→DGです。そのうえで専用ケーブル、シールド・接地、終端抵抗、伝送距離、通信速度などの条件を満たすことで安定したCC-Link通信につながります。実機を配線するときは記号の語感や線色だけで判断せず、使用するCC-Link機器とケーブルの取扱説明書・仕様書を確認することが重要です。


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