なぜ土日の渋滞に自分も並びながら「サンデードライバーが原因」と文句を言う?週末渋滞の仕組みと心理を解説

車、高速道路

土日や大型連休になると、高速道路や観光地周辺で長い渋滞が発生し、SNSでは「サンデードライバーが多すぎる」「休日は運転に慣れていない車が多くて疲れる」といった投稿を見かけます。一方、その投稿者自身も休日に車で出掛け、渋滞を構成する一台になっていることがあります。

一見すると矛盾しているようですが、週末渋滞は「運転に不慣れな人が多い」という一つの理由だけで説明できるものではありません。交通需要の集中、道路の交通容量、事故や故障車、合流部や上り坂での速度低下などが重なって発生します。また、「自分は渋滞の原因ではなく、ほかの車が原因だ」と感じやすい人間の心理も関係します。

土日の渋滞は「サンデードライバー」だけが原因ではない

まず押さえておきたいのは、道路には一定時間に通せる交通量に限界があることです。休日に観光地、商業施設、レジャー施設などへ向かう車が同じ時間帯に集中すれば、個々のドライバーが上手に運転していても混雑は発生します。

高速道路では、交通集中による渋滞のほか、事故や工事などによる渋滞も発生します。NEXCO各社も渋滞予測を公開し、混雑する日や時間帯を避ける「分散利用」を呼びかけています。つまり、週末の大渋滞は個人の運転技量だけではなく、そもそも同じ道路へ大量の交通需要が集中することが大きな要因です。[参照] NEXCO中日本「渋滞を知る」

例えば、休日の午前中に多数の車が東京方面から観光地へ向かい、夕方に一斉に帰宅するとします。一台一台は普通に運転していても、道路の処理能力を上回れば渋滞します。「運転が下手な人さえいなければ渋滞しない」と単純化することはできません。

高速道路は事故がなくても渋滞する

高速道路で不思議なのが、長時間渋滞したのに事故現場も工事現場もなく、ある場所を過ぎると急に流れ始める現象です。これは珍しいことではありません。

NEXCO中日本では、交通集中渋滞が発生しやすい場所として上り坂やサグ部、トンネル入口、インターチェンジなどの合流部を挙げています。特にサグ部は下り坂から上り坂へ変化する地点で、ドライバーが勾配変化に気付きにくく、無意識に速度が落ちることがあります。[参照] NEXCO中日本「渋滞を知る」

前方の車が少し速度を落とすと、後続車がそれより強めに減速し、さらに後ろの車がブレーキを踏むという連鎖が起こります。交通量が多いほど、この小さな速度変化が後方へ伝わって大きな渋滞につながりやすくなります。

「サンデードライバー」は渋滞を悪化させることがある?

休日しか運転しない人の存在そのものを渋滞原因と断定することはできません。ただし、交通量が限界に近い道路では、一台の急ブレーキや不安定な速度変化が後続車へ影響し、流れを乱す場合があります。

例えば、合流直前で急に強くブレーキを踏む、上り坂で速度が大きく低下する、車線変更を繰り返す、前車との距離を極端に詰めてブレーキを頻繁に踏む、といった運転は交通流を不安定にする可能性があります。ただし、これは休日ドライバーだけに起こる行動ではありません。

「週末だから運転の下手な人が増えて渋滞する」というより、「週末は交通量そのものが増えるため、一台一台の速度変化や事故などの影響が表面化しやすい」と考えるほうが実態に近いでしょう。

では、なぜ自分も休日に出掛けているのに渋滞へ文句を言うのか

ここからは交通工学というより、人間の心理の問題です。渋滞に参加している本人にとって、自分の移動には「家族旅行だから」「予約していたから」「この日しか休めないから」といった具体的な理由があります。

一方、周囲の何百台という車が何の目的で走っているのかは分かりません。そのため、自分については「必要があって走っている」、他人については単に「道路を混ませている車」と認識しやすくなります。

例えば、自分が観光地へ向かっているときには「今日は前から計画していた旅行だから仕方ない」と考える一方、前を走る車については「こんな混む日にみんな出掛けなくてもいいのに」と感じることがあります。しかし、前の車の家族にも同じように「今日でなければならない理由」があるかもしれません。

「平日に行けばいい」ができない人はかなり多い

渋滞を避ける方法として最も分かりやすいのは、確かに混雑する土日を避けることです。しかし、多くの会社員や学生にとって平日は仕事や学校があります。家族全員の休日を合わせようとすると、結局は土日祝日になりやすくなります。

さらに旅行では、同行者の勤務日、子どもの学校、宿泊予約、イベント開催日、施設の営業日など複数の条件があります。「自分だけ有給休暇を取れば火曜日に行ける」というほど単純ではないケースも少なくありません。

具体例として、家族4人でテーマパークへ行く場合、父親と母親がそれぞれ別の勤務先、子ども2人が学校という家庭なら、4人全員が平日に休むより土曜日に出掛けるほうが現実的です。同じ判断を何万世帯もすれば、休日に交通需要が集中します。

実は「自分も渋滞を作っている」という指摘は正しい

道路上に並んでいる以上、渋滞中の一台一台が交通需要の一部であることは事実です。渋滞を撮影してSNSへ投稿している車も、観光客の車も、仕事中の営業車も、道路の交通量という意味では一台として数えられます。

したがって「ほかの車が多すぎるから渋滞している」という発想には少し面白い側面があります。周囲のドライバーから見れば、自分自身も「ほかの車」の一台だからです。

ただし、だからといって渋滞について不満を持つことがおかしいわけでもありません。電車の混雑に巻き込まれた乗客が「今日は混んでいる」と感じるのと同じで、自分も混雑を構成していることと、混雑を不快に感じることは両立します。

仕事の車とレジャーの車なら「仕事の車が優先」なのか

仕事中に渋滞へ巻き込まれると、「遊びに行く車のせいで仕事が遅れる」と感じることもあります。しかし一般の道路では、業務目的だからという理由だけで通常の乗用車より通行上の優先権が与えられるわけではありません。

もちろん、緊急走行中の救急車や消防車、警察車両などの緊急自動車については別です。一般ドライバーには道路交通法上、緊急自動車が接近した場合に交差点を避けるなどの対応が求められます。

一方、営業車、配送先へ向かうトラック、通勤車、旅行中のマイカーなどについては、それぞれ異なる事情があって道路を利用しています。「仕事だから渋滞に参加しても仕方がない、レジャーだから悪い」と法律上分類されているわけではありません。

渋滞中のSNS撮影は安全面にも注意が必要

渋滞の写真をSNSへ投稿する行為については、別の重要な注意点があります。運転者が走行中にスマートフォンを手に持って撮影したり、画面を注視したりするのは避けなければなりません。

道路交通法では、自動車などの運転中に携帯電話を手で保持して通話したり、画像表示用装置に表示された画像を注視したりする行為が規制されています。警察庁も「ながらスマホ」の危険性と罰則について案内しています。[参照] 警察庁「やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用」

渋滞でほとんど動いていないから大丈夫、と自己判断するのは危険です。撮影やSNSへの投稿は運転者ではなく同乗者に任せるか、安全な場所に駐車してから行うのが基本です。

渋滞への現実的な対策は「他人を責める」より時間をずらすこと

休日ドライバーの運転技量は自分では変えられませんが、自分の出発時刻やルートにはある程度選択の余地があります。そこで有効なのが、渋滞予測を確認してピーク時間帯を外す方法です。

NEXCO各社は高速道路の渋滞予測情報を提供しており、特にゴールデンウィーク、お盆、年末年始などには混雑予測を公表しています。出発を数時間前後させるだけでも、ピークの渋滞を避けられる場合があります。

例えば「土曜日だから行かない」という二択ではなく、「土曜日でも朝6時に出発する」「帰宅ラッシュより前に現地を出る」「混雑ピーク後まで現地で過ごす」という選択もできます。休日しか動けない人にとってはこちらのほうが現実的です。

まとめ|休日渋滞はみんなで作るもの。サンデードライバーだけを原因にはできない

土日の道路が混雑する最大の背景には、休日に移動需要が集中するという構造があります。サグ部や上り坂、トンネル入口、合流部などでの速度低下、事故や故障車などが加わることで、さらに渋滞が長くなることがあります。

運転に不慣れな人の急な速度変化などが交通流へ影響することはあり得ますが、「週末の渋滞=サンデードライバーが原因」と決めつけるのは正確ではありません。休日に道路を利用している以上、ベテランドライバーも旅行者も仕事中の人も、それぞれ交通量を構成する一台です。

それでも自分を棚に上げているような投稿が生まれやすいのは、自分の外出理由はよく分かっていても、他人の外出理由は見えないからです。自分には「今日出掛けなければならない事情」があり、周囲の車にはその事情がないように感じてしまいます。

渋滞を撮影している人も渋滞の一員、という見方自体は間違っていません。ただし「だったら平日に行けばいい」とも限らず、多くの人にとって家族、学校、勤務先などの都合が合うのが土日です。現実的には、他人の運転を責めるより、渋滞予測を確認して出発時刻や帰宅時刻をずらすほうが、休日ドライブのストレスを減らす方法として効果的です。

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