東京ディズニーランドや東京ディズニーシーは「夢と魔法」のイメージが強い一方、そこで働くキャストにとっては現実の職場でもあります。そのため、華やかなゲスト対応の裏側には、体力を使う仕事、天候への対応、安全確認、清掃、混雑時の案内など、テーマパークを運営するための地道な業務があります。
ただし、インターネット上にある「元キャストが語った裏話」の中には、出典を確認できないものや、個人の体験をパーク全体の実態であるかのように語ったものもあります。そこでこの記事では、特定のキャストの未確認エピソードを作るのではなく、運営会社であるオリエンタルランドや東京ディズニーリゾートの公式採用情報などから確認できる「夢の国を支える仕事の現実」を中心に紹介します。
- ディズニーキャストも「魔法」だけで働いているわけではない
- 夢のない現実その1|夏の暑さや冬の寒さの中でも仕事は続く
- 夢のない現実その2|清掃も重要な仕事
- 夢のない現実その3|アトラクションは安全確認が最優先
- 夢のない現実その4|ゲスト全員がいつも笑顔とは限らない
- 夢のない現実その5|「できません」と伝えることもキャストの仕事
- 夢のない現実その6|閉園した瞬間に仕事が全部終わるわけではない
- 夢のない現実その7|キャストにも勤務時間・給与・福利厚生がある
- それでも接客品質を一定にするために教育がある
- 「夢のない裏話」と「未確認の暴露話」は分けて考えたい
- 実は「夢のない部分」が夢の国を成立させている
- 「夢のないエピソード」を知ると見え方が変わる
- まとめ|ディズニーにも現実はある。その現実的な仕事が「夢の国」を作っている
ディズニーキャストも「魔法」だけで働いているわけではない
ゲストから見ると、キャストは笑顔で案内したり、アトラクションを運営したり、ショップやレストランで接客したりする存在です。しかし当然ながら、その仕事は現実の業務として成り立っています。
東京ディズニーリゾートのキャスティングセンターでは、アトラクションキャスト、カストーディアルキャスト、フードサービスキャスト、マーチャンダイズキャスト、ゲストコントロールキャストなど、多くの職種を紹介しています。[参照:東京ディズニーリゾート キャスティングセンター]
つまり「キャスト」と一言でいっても仕事内容は大きく異なります。華やかに見える接客だけでなく、安全、清掃、誘導、商品管理、飲食提供といったテーマパーク運営に欠かせない実務が存在します。
夢のない現実その1|夏の暑さや冬の寒さの中でも仕事は続く
テーマパークの仕事で非常に現実的なのが天候です。屋外で働く職種では、夏の高温や冬の寒さ、雨、風などの影響を受けます。
例えばゲストコントロールキャストは、エンターテイメントプログラムの案内やゲストの誘導などを担当します。屋外の仕事もあるため、空調の効いた室内だけで一日を過ごす仕事とは異なります。
真夏のパークでゲストが日陰へ移動したり冷たい飲み物を買ったりできる一方、キャストは担当業務を継続する必要があります。もちろん安全管理や休憩などの仕組みはありますが、「夢の国だから暑さを感じない」というわけにはいきません。
夢のない現実その2|清掃も重要な仕事
パーク内を歩いていると、清掃を担当するカストーディアルキャストを見かけます。きれいなパークが自然に維持されているわけではなく、人が継続的に清掃しているからこそ景観が保たれています。
公式採用情報では、カストーディアルキャストについてパーク内外の清掃を担当する仕事として紹介されています。掃き掃除だけではなく、ゲストと接する機会も多い職種です。
華やかなパレードのすぐ近くでも、現実には飲食物のごみなどが発生します。それを目立たないよう迅速に処理し、次のゲストが快適に過ごせる環境へ戻す人がいます。「いつ行ってもきれい」という体験そのものが、実は大量の地道な仕事によって作られています。
夢のない現実その3|アトラクションは安全確認が最優先
アトラクションキャストというと、笑顔でゲストを迎えてアトラクションの世界観を演出する仕事を想像しやすいでしょう。しかし、非常に重要なのが安全に運営する役割です。
アトラクションは機械設備です。運営上の確認が必要になれば、一時的に案内を停止することもあります。「せっかく来たのだから動かしてほしい」というゲストの気持ちがあったとしても、安全よりショーを優先することはできません。
つまり夢の世界を守るために、現実的で厳格な安全管理が必要になります。ゲストには数分の楽しい体験でも、その裏側ではキャストが決められた手順を繰り返し確認しています。
夢のない現実その4|ゲスト全員がいつも笑顔とは限らない
テーマパークは楽しい場所ですが、来園する人すべてが常に機嫌よく過ごしているわけではありません。長い待ち時間、暑さや寒さ、子どもの疲れ、希望していたサービスを利用できなかったことなどをきっかけに、不満が生じることもあります。
キャストの仕事は、笑顔のゲストへ「いってらっしゃい」と声をかける場面だけではありません。ルールを説明したり、安全上できないことを伝えたりする場面もあります。
例えば身長などの利用基準を満たさない場合、本人や家族が楽しみにしていたとしても、キャストが独断で例外を認めることはできません。夢を壊したいから断るのではなく、安全なパークを維持するために必要な対応です。
夢のない現実その5|「できません」と伝えることもキャストの仕事
ディズニーの接客というと、どんな希望にも応えてくれるようなイメージを持たれることがあります。しかし実際のテーマパークには、利用基準や禁止事項、営業時間、定員などのルールがあります。
ショーの鑑賞エリアが満員になれば、それ以上案内できない場合があります。アトラクションの運営が終了すれば乗れませんし、販売を終了した商品をその場で用意することもできません。
キャストに求められるのは「何でもYESと言うこと」ではなく、必要なルールを守りながらゲストへ適切に対応することです。このあたりは一般的な接客業と同じ、非常に現実的な側面です。
夢のない現実その6|閉園した瞬間に仕事が全部終わるわけではない
ゲストにとって閉園時間は「楽しかった一日の終わり」ですが、テーマパークという施設の仕事までその瞬間に消えるわけではありません。
巨大な施設を翌日も営業するためには、清掃や設備の点検・保守などさまざまな業務が必要です。株式会社オリエンタルランドの採用情報を見ると、テーマパークを支える仕事はゲストと直接接する職種だけではなく、技術・施設関連など幅広い領域に及ぶことが分かります。[参照:オリエンタルランド 採用情報]
ゲストが翌朝パークへ入ったとき、施設がきれいでアトラクションが動く状態になっているのは、何もしなくても一晩で元通りになるからではありません。「魔法の翌朝」を現実の仕事で準備する人たちがいます。
夢のない現実その7|キャストにも勤務時間・給与・福利厚生がある
当たり前のことですが、キャストはディズニーの世界に住んでいる登場人物ではなく、仕事として勤務している人でもあります。
東京ディズニーリゾートのキャスティングセンターでは、給与、勤務時間、交通費、各種手当、社会保険、福利厚生など、一般的な求人と同じように労働条件が案内されています。[参照:東京ディズニーリゾート キャスティングセンター]
「夢の国」という表現と、そこで働く人に現実的な労働条件が存在することは矛盾しません。むしろ多数の従業員が組織として働くからこそ、大規模なテーマパークを毎日運営できます。
それでも接客品質を一定にするために教育がある
現実の職場でありながら、ゲストには非日常的な体験を提供する。この両方を成立させるために重要なのが人材育成です。
オリエンタルランドグループでは、人材育成や従業員が働く環境についても情報を公開しています。テーマパーク運営は、一部の「接客の天才」だけに依存して成立しているものではありません。[参照:オリエンタルランド「従業員」]
ゲストから見ると自然な笑顔や案内でも、その裏側には採用、教育、マニュアル、安全管理、チームワークといった極めて現実的な組織運営があります。
「夢のない裏話」と「未確認の暴露話」は分けて考えたい
ディズニーについて検索すると、「元キャストしか知らない秘密」「絶対に表へ出ない裏話」といった情報が見つかることがあります。しかし、そのすべてを事実として受け取るのは適切ではありません。
匿名の投稿では、本当に勤務経験がある人物なのか確認できないことがあります。また、仮に元キャスト本人の経験談だったとしても、勤務した年代、部署、職種によって状況は異なります。一人の経験を東京ディズニーリゾート全体のルールとして一般化することもできません。
特定のキャストや企業について「こんなひどいことをしている」と断定する場合には、とくに情報源の確認が必要です。面白い都市伝説と、確認できる事実は分けて楽しむ方がよいでしょう。
実は「夢のない部分」が夢の国を成立させている
ここまで見ると、暑い中での勤務、清掃、安全確認、ゲストへのルール説明など、華やかなイメージとは違う仕事がたくさんあります。しかし、それらはディズニーらしさと反対の存在ではありません。
床が汚れたままなら世界観へ入り込みにくくなります。アトラクションの安全確認が不十分なら安心して楽しめません。混雑時の誘導がなければショーを見ることすら難しくなります。
ゲストから「魔法」に見える状態を維持するために、裏側では非常に現実的な仕事が積み重ねられていると考えると、テーマパークの舞台裏はむしろ興味深く見えてきます。
「夢のないエピソード」を知ると見え方が変わる
例えばパークで清掃しているキャストを見たとき、「夢のない作業をしている」と見ることもできます。しかし、数万人規模のゲストが利用する施設をきれいな状態に保つこと自体が、パーク体験を作る重要な仕事です。
アトラクションが安全確認で一時停止したときも同じです。ゲスト側には残念な出来事でも、安全を優先して運営する側から見れば必要な判断です。
こうした現実を知ると、「夢の国には現実がない」のではなく、ゲストに現実を強く意識させないために、多くの現実的な業務が行われていることが分かります。
まとめ|ディズニーにも現実はある。その現実的な仕事が「夢の国」を作っている
東京ディズニーリゾートにも、一般的な職場と同じように勤務時間や給与があり、暑さや寒さの中での仕事、清掃、安全確認、混雑対応、ルール説明などがあります。キャストにとってすべての瞬間が華やかな接客というわけではありません。
一方、ネット上にある刺激的な「元キャスト暴露話」を事実確認なしに紹介するのも適切ではありません。実際の仕事について知りたい場合は、東京ディズニーリゾートのキャスティングセンターや運営会社オリエンタルランドが公開している情報を見ると、さまざまな職種と仕事内容を確認できます。
ある意味で最も「夢のない話」は、夢の国が魔法だけで動いているのではなく、大勢の人による地道な仕事、安全管理、清掃、接客、設備管理によって毎日作り直されているという事実かもしれません。
しかし、その現実を知ることは必ずしも夢を壊すことではありません。ゲストが何気なく過ごす一日の裏側に膨大な仕事があると分かれば、パークを見る角度が少し変わります。華やかなショーだけでなく、それを成立させているキャストやスタッフの仕事まで含めて「夢の国」なのでしょう。


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