映画ちいかわ「人魚の島」のモデルは愛知県・佐久島?海神さま・しるこサンドから聖地巡礼説を検証

観光地、行楽地

2026年7月24日に公開された『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』をめぐり、ファンの間で注目されているのが「人魚の島のモデルは愛知県西尾市の佐久島ではないか」という説です。映画には島、海、信仰を感じさせる要素に加え、愛知・名古屋を連想させる食文化やモチーフが登場するため、公開直後から佐久島との共通点を指摘する声が広がりました。

とりわけ話題になったのが、佐久島の正念寺にあるアート作品「海神さま」と島二郎を連想させる造形、そして作中に登場する愛知発祥の「しるこサンド」です。実際に映画公開後、佐久島を「人魚島のモデルの可能性がある場所」として訪れたというSNS投稿も確認できます。

ただし、2026年8月31日時点で、映画公式や原作者が「人魚の島のモデルは佐久島」と公式発表した事実は確認できません。したがって佐久島を映画の確定したロケ地・公式聖地として扱うのではなく、「有力なモチーフ候補としてファンの間で考察されている場所」と理解するのが正確です。本記事では、なぜ佐久島説が浮上したのか、実際に公開後の聖地巡礼が起きているのかを整理します。

『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』は2026年7月24日公開

『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』は2026年7月24日に全国公開された『ちいかわ』初の劇場版作品です。原作・脚本はナガノ氏、監督は及川啓氏で、人気長編エピソード「セイレーン編」が映画化されています。[参照:『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』公式サイト]

物語では、ちいかわ、ハチワレ、うさぎたちが「特別な島」への招待状をきっかけに島へ渡ります。そこで島民やセイレーン、島二郎などと関わりながら、島に隠された秘密へ迫っていきます。

映画公式サイトのスタッフ・作品情報には佐久島を舞台モデルとする記載はありません。そのため「佐久島が舞台」という話は、現時点では公式設定ではなく、作品と実在の土地を比較したファン考察から生まれたものです。

なぜ「人魚の島=佐久島」説が出ているのか

佐久島は愛知県西尾市の三河湾に浮かぶ離島です。西尾市営渡船で渡る島で、海岸や昔ながらの集落に加えて島内各地に現代アート作品が設置されていることから「アートの島」として知られています。[参照:佐久島公式ホームページ]

映画公開後には、佐久島と作品の共通点を指摘する投稿がSNSで拡散しました。代表的な要素が「海神さま」、島という地理的条件、海や魚介に関係する文化、そして愛知県を強く連想させるしるこサンドなどです。

一つひとつだけなら偶然と考えることもできます。しかし愛知に関連する要素が複数重なったことで、「ナガノ氏が佐久島など愛知の島や文化から何らかの着想を得たのではないか」という考察につながっています。

最大の注目ポイントは佐久島の「海神さま」と島二郎

佐久島説で特に注目されているのが、正念寺に設置されている「海神さま」です。これは実在する古い神像ではなく、松岡徹氏が制作した佐久島アートの一つです。佐久島公式サイトによれば2003年制作で、正念寺に設置され、「釣りの神様」と説明されています。[参照:佐久島公式「海神さま」]

この「海神さま」の丸みのある体形や独特の存在感が、『ちいかわ』のセイレーン編に登場する島二郎を連想させるとしてファンの間で話題になりました。さらに「島にいる大きな存在」「海に関係する神様」というイメージまで重なるため、佐久島説を象徴するスポットになっています。

ただし、ここは慎重に区別する必要があります。公式資料には「島二郎は佐久島の海神さまをモデルにした」という説明は確認できません。似ていることは確認できますが、モデルであることが確認されたわけではありません。

2026年8月には「海神さま」が佐久島へ戻っている

映画公開時期に佐久島を訪れる場合、少しややこしい事情もありました。「海神さま」はメンテナンスのため一時的に島を離れていたからです。

しかし佐久島公式サイトは2026年8月13日、「佐久島アート 海神さま 退院のお知らせ」として、メンテナンスを終えて正念寺へ戻ったことを発表しています。正念寺は佐久島東港から徒歩約1分と案内されています。[参照:佐久島公式ホームページ「海神さま 退院のお知らせ」]

そのため2026年8月31日時点では、佐久島を訪れて「海神さま」を見ることが可能な状況です。映画公開直後と現在では展示状況が異なるため、聖地巡礼を計画するときには佐久島公式サイトで最新情報を確認してから出かけるのがおすすめです。

しるこサンド登場で「愛知説」はかなり強く意識された

佐久島そのものとは別に、「舞台やモチーフに愛知が関係しているのでは」と感じさせる非常に分かりやすい存在が「しるこサンド」です。

しるこサンドは松永製菓が製造する名古屋発祥のビスケットで、1966年発売。2026年に発売60周年を迎えました。そして松永製菓は映画公開に合わせ、『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』とのコラボパッケージを数量限定で発売しています。[参照:松永製菓「映画ちいかわ しるこサンド」]

しかも松永製菓自身が、映画にしるこサンドが登場することを公式発表で明記しています。したがって「映画に愛知県を代表する菓子が登場する」という点については、単なるファンの見間違いや推測ではありません。

60周年パッケージと映画コラボの関係

2026年はしるこサンドにとって発売60周年という節目の年です。映画公開日は7月24日ですが、映画コラボ商品は7月17日からちいかわらんど・ちいかわマーケットで先行発売され、その後セブン-イレブンやNewDaysなどでも順次販売されました。

コラボパッケージには腰みの姿のちいかわたちに加え、セイレーンと人魚がデザインされています。つまり、しるこサンドは単に映画背景に偶然描かれた商品ではなく、メーカーと映画側による正式なコラボレーションにまで発展したモチーフです。

これが「映画の島は愛知がモデルなのでは?」という印象をさらに強くした理由の一つと考えられます。ただし、しるこサンドが登場することと、島そのものが佐久島であることは別の話です。ここを混同しないことが重要です。

佐久島には以前から「ちいかわの島編に似ている」という声があった

興味深いのは、佐久島説が2026年の映画公開後に突然生まれたわけではないことです。映画化前、原作のセイレーン編が話題になっていた時期から、佐久島を訪れた人の旅行記などで「ここが舞台なのでは」という声がすでに見られました。

2023年に公開された佐久島旅行記にも、当時話題になっていた『ちいかわ』の離島編について、佐久島が舞台ではないかという噂があったことや、「海神さま」が島二郎に似ていることへの言及があります。

したがって「映画を観た人が後から無理やり佐久島を当てはめた」というだけではなく、原作セイレーン編の連載当時から佐久島を連想した読者が存在していたことが分かります。

映画公開後、実際に佐久島へ「聖地巡礼」した人はいる

では映画公開後、実際に佐久島を訪れた人はいるのでしょうか。これは確認できます。

2026年8月1日には、SNS上で「人魚島のモデル(の可能性がある)愛知県佐久島に行ってきました」とする訪問投稿が確認されています。投稿ではカツカレーや大アサリなど島での食事にも触れられており、映画公開後に佐久島を「人魚島のモデル候補」として訪問する動きが実際に起きています。

一方、「上映初日から映画を観ずに佐久島へ行った人がどれだけいたか」という具体的な人数を示す統計や公式記録はありません。個人のSNS投稿を網羅することもできないため、「初日に何人いた」と断定することはできません。

「映画を観ずに聖地巡礼」は少し不思議に見えて実は可能

通常、映画の聖地巡礼というと作品を観てから場所を訪れるイメージがあります。しかし『ちいかわ』の場合、映画は完全新作ではなく、2023年にXで連載された人気長編「セイレーン編」を映像化した作品です。

そのため原作をリアルタイムで読んでいたファンなら、映画をまだ観ていなくても島二郎、セイレーン、人魚、島の食べ物など物語の主要要素をすでに知っています。映画公開前から予告映像も公開されていたため、佐久島との共通点を事前に調べることも可能でした。

つまり「映画を観ていないのに聖地巡礼」というより、正確には「原作セイレーン編を知っているファンが、映画公開をきっかけに以前から噂されていたモデル候補地を訪れる」という行動です。この意味なら不自然ではありません。

佐久島だけがモデル候補とは限らない

佐久島説を考える際に重要なのが、「作品の島=現実の一つの島」と決めつけないことです。ファンによる考察では、佐久島だけでなく愛知県の篠島など、三河湾・知多半島周辺の島々との共通点も指摘されています。

また『人魚の島のひみつ』には、人魚を食べることによる不老長寿という日本各地の八百比丘尼伝説を連想させる要素があります。八百比丘尼伝説は福井県小浜市など全国各地に伝承があり、物語上のモチーフを一つの土地だけで説明することはできません。

そのため現時点では、佐久島の風景や海神さま、愛知の食文化、日本各地の人魚伝説など、複数の文化・伝承・場所から着想を得て再構成された可能性も考えておくべきでしょう。

佐久島を巡るなら「公式聖地」ではなく作品考察の旅として楽しむ

佐久島を訪れる際は、「ここが映画の公式ロケ地」という前提より、「作品を連想させる要素を探す旅」として楽しむのがおすすめです。アニメーション作品なので実写映画のような撮影ロケ地があるわけではなく、モデルが公式発表されていない以上、完全に同じ風景を探すタイプの聖地巡礼とは性格が異なります。

代表的な候補は正念寺の「海神さま」です。佐久島公式によれば東港側にあり、佐久島にはこのほか「おひるねハウス」「イーストハウス」「佐久島のお庭」「佐久島の秘密基地/アポロ」など多数のアート作品があります。[参照:佐久島公式「佐久島アート」]

公式サイトではアート作品をすべて巡る場合、半日程度が目安とされています。西港から東港までは徒歩約30分と案内されているため、映画関連の考察だけでなく、島全体を散策する計画にすると楽しみやすいでしょう。[参照:佐久島公式「展覧会・アート巡り」]

佐久島へ行く前には渡船と最新情報を確認する

佐久島へは橋がなく、西尾市一色町側から定期船を利用します。佐久島公式サイトでは2026年8月時点の大人片道運賃を830円、小児420円と案内しています。また2026年10月1日から旅客運賃改定が予定されているため、訪問時期によって料金が変わる点にも注意が必要です。[参照:佐久島公式ホームページ]

島のアート作品はメンテナンスで一時的に見られなくなることがあります。実際に「海神さま」も2026年には一時島外でメンテナンスを受けていました。そのため、遠方から訪問する場合は当日の船の運航状況と作品展示状況を公式サイトで確認した方が安心です。

また佐久島はテーマパークではなく住民が暮らしている島です。住宅や寺社、店舗などでは私有地へ立ち入らず、撮影禁止表示や店舗ルールを守ることも聖地巡礼の基本になります。

「ジブリっぽい」と感じる理由とモデル地の話は分けて考える

島の集落、神様のような存在、海、人魚、土地に隠された秘密、食べ物といった要素から、『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』にスタジオジブリ作品のような雰囲気を感じる人もいるでしょう。

しかし「ジブリ的に感じる」という作品の印象と、「佐久島をモデルにしている」という制作上の事実は別です。同様に、神社や古い集落に似た景観が登場したとしても、実在する特定の神社がモデルだと公式確認されていなければ断定はできません。

聖地考察では「似ている」「地域文化と一致する」「公式にモデルと発表されている」の3段階を分けることが大切です。佐久島について現時点で確認できるのは、前二者を中心とした状況です。

佐久島説を整理するとどこまで事実なのか

ポイント 2026年8月31日時点の確認状況
映画はセイレーン編が原作 公式確認済み
2026年7月24日公開 公式確認済み
しるこサンドが作品に登場 メーカーが公式に明記
しるこサンドは愛知・名古屋発祥 メーカーが公式に明記
佐久島に「海神さま」がある 佐久島公式で確認可能
海神さまは2003年制作の釣りの神様 佐久島公式で確認可能
島二郎と海神さまが似ている ファンによる考察
人魚の島のモデルが佐久島 公式発表は確認できず
映画公開後に佐久島を訪れるファン SNS投稿で確認可能
上映初日に映画未鑑賞で訪れた人数 確認できる統計なし

このように整理すると、「全部偶然」というには面白い共通点が多い一方、「佐久島で確定」とするには公式根拠が足りない、というのが現在もっとも妥当な位置づけです。

まとめ|佐久島は有力な「人魚の島」モデル候補だが公式確定ではない

『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』は2026年7月24日に公開された、原作の人気長編「セイレーン編」を映画化した作品です。映画公式情報では、物語の舞台となるのは「特別な島」とされており、佐久島がモデルだという公式発表は2026年8月31日時点では確認できません。[参照:映画公式サイト]

それでも佐久島説が注目される理由は明確です。愛知県西尾市の佐久島には、島二郎を連想させるとして話題になった「海神さま」というアート作品が実在します。「海神さま」は松岡徹氏が2003年に制作した釣りの神様で、正念寺に設置されています。[参照:佐久島公式「海神さま」]

さらに作品には愛知・名古屋発祥の「しるこサンド」が登場します。松永製菓もこれを公式に認め、発売60周年となる2026年には映画コラボパッケージまで発売しました。[参照:松永製菓]

映画公開後には、佐久島を「人魚島のモデルの可能性がある場所」として実際に訪れたファンのSNS投稿も確認されています。したがって、映画をきっかけに佐久島への聖地巡礼的な動きが起きていること自体は確かです。ただし「上映初日に映画を観ないまま訪れた人が何人いるか」までは公的な統計がなく、個々のSNS投稿以上の断定はできません。

また原作セイレーン編は映画より数年前から公開されていたため、映画未鑑賞でも原作を知っていれば佐久島との共通点を探すことはできます。実際、映画公開以前から佐久島と島編の類似を指摘する声が存在していました。

現状では、「映画の人魚の島=佐久島」と断定するより、「佐久島は人魚の島を連想させる有力なモデル候補の一つで、特に海神さまと愛知文化の一致が面白い」と捉えるのが適切です。公式に答えが示されていないからこそ、佐久島、愛知の食文化、人魚伝説などを実際にたどりながら作品との共通点を探すこと自体が、『映画ちいかわ』ならではの聖地巡礼の楽しみ方といえるでしょう。

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