パスポートを申請するとき、必要書類に「戸籍謄本(原本)」と書かれていると、「市役所・区役所でもらう戸籍謄本は原本なのか」「戸籍そのものを持っていく必要があるのか」と迷うことがあります。結論からいうと、市区町村の役所で正式に交付してもらった戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)は、パスポート申請でいう「原本」として使用できます。自分でコピー機やプリンターを使って複写したものが「コピー」であり、役所が証明書として発行した戸籍謄本そのものを提出すれば問題ありません。外務省も、パスポートの新規申請では戸籍謄本(全部事項証明書)の原本1通が必要と案内しています。[参照]
役所で発行してもらった戸籍謄本が「原本」
パスポート申請でいう戸籍謄本の「原本」とは、戸籍の原簿そのものを役所から持ち出すという意味ではありません。市区町村長が戸籍の内容を証明して発行する戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)そのものを指します。
例えば市役所の窓口で「戸籍謄本を1通ください」と請求し、交付された証明書を受け取ったとします。その紙をそのままパスポート申請窓口へ提出するのであれば、それが原本です。
外務省も、戸籍謄本は本籍地の市区町村長が戸籍の内容を証明するものだと説明しています。パスポートでは日本国籍や氏名、生年月日などの身分事項を確認するために使用されます。[参照]
「原本」と「コピー」の違いを具体例で理解しよう
一番分かりやすいのは、役所から受け取った後にコピーしたかどうかで考えることです。
| 書類 | パスポート申請上の考え方 |
|---|---|
| 市役所・区役所等で正式に交付された戸籍謄本 | 原本 |
| 正式に交付された戸籍謄本をコンビニ等のコピー機で複写した紙 | コピー |
| 戸籍謄本をスマホで撮影して印刷したもの | コピー |
| 戸籍謄本をスキャンしてプリンターで印刷したもの | コピー |
つまり「原本を提出してください」という案内は、役所が発行した証明書を自分で複写した紙ではなく、役所から交付された証明書そのものを持ってきてくださいという意味だと考えると分かりやすいでしょう。
「戸籍の原本をください」と役所で頼む必要はない
役所の窓口で特別に「パスポート用の原本をください」と頼む必要は基本的にありません。
窓口では「パスポート申請に使う戸籍謄本(全部事項証明書)が必要です」と伝えれば分かりやすいでしょう。交付された戸籍謄本をコピーせず、その証明書自体を申請に使用します。
なお、パスポート申請で現在求められているのは戸籍謄本(全部事項証明書)です。戸籍抄本(個人事項証明書)ではありません。以前パスポートを取得した経験がある人は、過去の制度と混同しないよう注意しましょう。
戸籍謄本は申請日前6か月以内に発行されたものが必要
役所から正式に交付された戸籍謄本であれば何年前のものでもよいわけではありません。
外務省は、パスポート申請で提出する戸籍謄本について申請日前6か月以内に発行されたものを求めています。[参照]
例えば2026年9月にパスポートを申請するのに、数年前に相続など別の手続きで取得して保管していた戸籍謄本を持っていく、といった方法では要件を満たさない可能性があります。パスポート申請が決まってから新しく取得しておくと安心です。
コンビニで取得した戸籍謄本は「コピー機から出てくるからコピー」ではない
自治体によっては、マイナンバーカードを利用してコンビニエンスストア等のマルチコピー機から戸籍証明書を取得できます。この場合、「コピー機から印刷された紙なのだからコピーなのでは?」と疑問に思うことがあります。
しかし、自治体の証明書交付サービスを利用して正式に発行された戸籍全部事項証明書であれば、自宅で戸籍謄本をコピーしたものとは意味が異なります。コンビニ交付によって発行された証明書そのものが公的な証明書です。
ただし、コンビニで戸籍証明書を取得できるかどうかは本籍地の自治体がサービスに対応しているかなどの条件があります。取得する際は「戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)」を選択し、発行後6か月以内のものを使用しましょう。
パスポートの新規申請では戸籍謄本1通が基本
外務省が案内する日本国内でのパスポート新規申請の主な必要書類は、一般旅券発給申請書、戸籍謄本、写真、本人確認書類などです。住民票については、住民基本台帳ネットワークシステムを利用しない場合など一定の場合に必要になります。[参照]
戸籍謄本については1通用意します。初めてパスポートを申請する場合や、有効期限がすでに切れて新規申請する場合などには原則として必要です。
一方、有効なパスポートを更新する「切替申請」では、戸籍上の氏名や本籍の都道府県などに変更がなければ、戸籍謄本の提出が不要になる場合があります。申請の種類によって必要書類が異なる点には注意してください。
2025年3月24日からオンライン申請なら戸籍謄本の紙を省略できる
現在は、パスポート申請のオンライン化が大きく進んでいます。2025年3月24日から、すべての都道府県でオンラインによる新規申請と切替申請が利用できるようになりました。
マイナンバーカードを使ってマイナポータルからオンライン申請し、戸籍情報のシステム連携を利用する場合は、紙の戸籍謄本原本を別途取得・提出する必要がありません。外務省によると、戸籍電子証明書がパスポートの申請システムへ連携されることで、電磁的に戸籍謄本を提出した扱いになります。[参照]
そのため、「役所まで戸籍謄本を取りに行くのが大変」という場合は、オンライン申請を利用できないか確認する価値があります。
窓口申請なら紙の戸籍謄本原本を持っていく
オンライン申請ではなく、従来どおりパスポートセンター等の窓口で新規申請する場合は、紙の戸籍謄本(全部事項証明書)の原本を用意するのが基本です。
外務省の2026年時点の案内でも、新規申請の必要書類として「戸籍謄本(全部事項証明書)(原本を必要とします)1通」と明記されています。[参照]
つまり窓口申請なら、役所で交付された戸籍謄本を家でコピーしてコピーだけを提出するのではなく、交付された証明書そのものを持参すればよいということです。
「住民票の写し」の「写し」もコピーという意味ではない
公的書類では「住民票の写し」という名称も混乱しやすいポイントです。「写し」と書かれているため、自分で住民票をコピーすればよいように見えますが、そうではありません。
「住民票の写し」は市区町村が正式に発行する証明書の名称です。その正式な「住民票の写し」をさらにコピー機で複写すれば、それは単なるコピーになります。
戸籍謄本についても同様に、行政機関が証明書として交付した書類そのものと、自分で複写したものを区別して考えると迷いにくくなります。
戸籍謄本を取得するときに確認したいポイント
パスポート申請用に戸籍謄本を用意するときは、次の点を確認しておくと申請窓口でのやり直しを防ぎやすくなります。
- 戸籍謄本(全部事項証明書)であること
- 申請日前6か月以内に発行されたものであること
- 窓口申請なら役所等から交付された証明書そのものを持参すること
- 自宅でコピー・スキャン・撮影して印刷したものに置き換えないこと
- 申請するパスポートの種類に戸籍謄本が必要か確認すること
個別の事情によって追加書類が必要になることもあります。外務省も、日本国内での詳細な問い合わせについては各都道府県のパスポート申請窓口へ確認するよう案内しています。[参照]
まとめ:役所で交付された戸籍謄本をそのまま持参すれば原本として使える
市役所・区役所などで正式に交付してもらった戸籍謄本(全部事項証明書)は、パスポート申請で求められる「原本」です。役所に保管されている戸籍そのものを持ち出すわけではありません。
例えば役所で戸籍謄本を1通発行してもらい、その紙をそのままパスポート申請窓口へ持っていけば問題ありません。一方、その戸籍謄本を自宅やコンビニのコピー機で複写し、複写した紙だけを提出する方法は「原本提出」にはなりません。
また、パスポート申請に使用する戸籍謄本は申請日前6か月以内に発行されたものである必要があります。現在は戸籍抄本ではなく戸籍謄本(全部事項証明書)が必要です。外務省の最新案内でも、新規申請では戸籍謄本の原本1通を必要書類としています。[参照]
なお、マイナンバーカードを使ったオンライン申請では戸籍情報をシステム連携できるため、条件を満たせば紙の戸籍謄本原本を取得・提出する必要はありません。[参照]窓口申請なら「役所で発行された戸籍謄本をそのまま持っていく」、オンライン申請なら「戸籍情報を電子的に連携する」という違いを押さえておけば、原本かコピーかで迷うことはないでしょう。


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