パスポート写真を少しでもきれいに見せたいと考え、スマートフォンの写真編集アプリで小顔、美肌、リップの色などを調整したくなることがあります。しかし、パスポートの顔写真はSNSのプロフィール写真や履歴書写真とは目的が大きく異なり、本人確認や顔認証に使用される重要な情報です。
外務省は、顔の形状や特徴が変わる加工について明確な注意事項を示しており、目の拡大、美白処理、顔のパーツ、ほくろ・しわなどの修正に加え、「小顔加工」「輪郭補正」も使用できない例として明示しています。
一方、オンライン申請では画面上で顔の位置や大きさを調整すること自体は案内されています。つまり、「画像の中で顔が規格に合うよう配置を調整すること」と「本人の顔そのものを小さく変形させる小顔加工」は分けて考える必要があります。
この記事では、外務省が公表しているパスポート写真の規格を基に、小顔加工やリップの色調整などがどのように扱われるのか、オンライン申請で不適切な写真を提出するとどうなるのかを整理します。
- パスポート写真は「きれいに見せる写真」ではなく本人確認用の写真
- 小顔加工はパスポート写真ではNGと明示されている
- 「写真の中で顔を小さく配置する」のと「小顔加工」は違う
- パスポート写真には顔の大きさにも規格がある
- リップの色を画像編集で足すのはどう考えるべき?
- 普通のメイクまで禁止されているわけではない
- 美白・美肌加工も避けるべき
- 目を大きくする・輪郭を細くする加工も使用できない
- オンライン申請なら加工写真が自動的に通るわけではない
- 不適切な写真は「永久に申請却下」ではなく撮り直し・差し替えになることがある
- オンライン申請では顔の位置・大きさを画面上で調整できる
- 本人のイメージを変える加工に「○%までOK」という基準はない
- 加工と構図調整の違いを整理
- 失敗しにくいパスポート写真の作り方
- 写真で迷ったときは申請先の旅券窓口に確認する
- まとめ|パスポート写真は「顔そのものを加工しない」が基本
パスポート写真は「きれいに見せる写真」ではなく本人確認用の写真
パスポート写真について最初に理解しておきたいのが、写真を提出する目的です。パスポートは海外で本人の身分を証明する極めて重要な公文書であり、顔写真は本人確認のために利用されます。
外務省によると、日本の旅券用写真の規格は国際民間航空機関(ICAO)の勧告に基づいて定められています。また、渡航先によっては入国審査などで顔認証技術を利用して本人確認を行う場合があります。
そのため、写真として自然に見えるかどうかだけでなく、実際の本人の顔の特徴が正確に確認できるかという点が重要になります。
[参照] 外務省「旅券(パスポート)用写真についてのお知らせ」
小顔加工はパスポート写真ではNGと明示されている
スマートフォンの加工アプリには、顔全体を数%だけ小さくする機能があります。「輪郭を細くするわけではないから大丈夫では?」と思うかもしれませんが、パスポート写真では注意が必要です。
外務省の国内向けオンライン申請案内では、使用できない写真として「顔の形状や特徴が変わる加工」を挙げています。その具体例には、目の拡大、美白処理、顔パーツ・ほくろ・しわなどの修正とともに、小顔加工、輪郭補正も明記されています。
したがって、「少しだけだから」という程度の問題ではなく、アプリなどで顔そのものを縮小・変形させる小顔加工は避けるのが適切です。
「写真の中で顔を小さく配置する」のと「小顔加工」は違う
ここは非常に混同しやすいポイントです。パスポート写真には、写真全体に対する顔の位置や大きさについて規格があります。そのため、撮影した画像を規定サイズに合わせてトリミングする作業まで禁止されているわけではありません。
実際に外務省のオンライン申請案内では、顔写真について「画面上で顔の位置や大きさを調整してください」と案内されています。
例えば、スマートフォンで撮影した写真について、顔の形そのものには触れず、写真を拡大・縮小したり切り抜く範囲を変更したりして規定の位置に合わせる操作は、「小顔加工」とは性質が異なります。
一方、美容アプリの「小顔」機能で顔の横幅を狭くしたり、輪郭を内側へ移動させたり、顔だけを縮小したりする処理は本人の顔の形状を変化させるため使用できません。
パスポート写真には顔の大きさにも規格がある
パスポート写真は、単に縦45mm・横35mmの画像を用意すればよいわけではありません。写真の中に顔がどの程度の大きさで写っているかについても規格があります。
外務省が公開している写真規格では、申請者本人のみが正面を向いて撮影されていること、申請日前6か月以内に撮影されていること、無帽であること、背景に問題がないこと、顔の輪郭が確認できることなど、複数の条件が示されています。
つまり「顔が大きく写ったので、顔だけを美容加工で小さくする」という方法ではなく、元画像を規格に合わせて適切に配置・トリミングするのが基本です。
撮影段階で十分な余白を確保しておけば、顔そのものを加工する必要もなくなります。
リップの色を画像編集で足すのはどう考えるべき?
小顔加工については外務省が具体的に使用不可と明記していますが、リップの色を後から追加する加工については、小顔加工のように個別名称を挙げて可否が示されているわけではありません。
しかし、パスポート写真については「この加工は明示的に禁止されていないから使用できる」と判断するのはおすすめできません。顔写真の目的は本人確認であり、外務省は顔の形状や特徴が変わる加工を使用できないとしています。
画像編集アプリで唇の色や見た目を後から変えるより、必要であれば撮影時に通常のメイクとしてリップを使用し、その状態を加工せず撮影するほうが安全です。
特に美容アプリのリップ機能は、単純な色付けだけでなく唇の輪郭補正、明るさ調整、肌補正などが同時に適用される場合があります。本人確認写真では、こうした自動補正を避けるのが無難です。
普通のメイクまで禁止されているわけではない
画像加工と撮影時のメイクは同じものではありません。パスポート写真だからといって、必ずノーメイクで撮影しなければならないという規定ではありません。
ただし、重要なのは本人確認に支障を与えないことです。普段のメイクの範囲であれば問題になりにくい一方、実際の容姿や雰囲気が大きく変わる状態は避けるべきでしょう。
例えばリップを使いたい場合は、撮影後にアプリで唇だけ加工するより、撮影前に実際にリップを塗って撮影する方法がシンプルです。
また、撮影後に自動で美肌・小顔・目の拡大などが適用されるカメラアプリもあるため、証明写真を撮るときは美容フィルターをOFFにしておくと安心です。
美白・美肌加工も避けるべき
肌を明るくしたり滑らかにしたりする加工も、パスポート写真では注意が必要です。外務省は使用できない加工例として「美白処理」を明示しています。
また、ほくろやしわなどの修正についても使用できないとしています。これは、本人の特徴となる情報が画像加工によって失われる可能性があるためです。
美容アプリでは「美肌」を選択するだけで、肌色の変更、しわ・毛穴の除去、輪郭補正など複数の加工が同時に行われることがあります。
自分ではほとんど変わっていないように見えても、元画像と比較すると顔の特徴が変化しているケースがあるため、パスポート用写真には美容フィルターを使用しないほうが確実です。
目を大きくする・輪郭を細くする加工も使用できない
外務省が例示している「目の拡大」は、スマートフォンの美容アプリでは定番の加工です。しかしパスポート写真では使用できません。
輪郭補正についても同様です。顎を細くする、頬を削る、顔幅を狭くするなどの処理は、本人の顔の形状を変更することになります。
特に最近の加工アプリは補正が非常に自然なため、加工した本人ですら違和感を覚えないことがあります。しかし「加工がバレるかどうか」ではなく、本人確認用写真として規格に適合しているかどうかで判断する必要があります。
オンライン申請なら加工写真が自動的に通るわけではない
オンライン申請では、スマートフォンなどで撮影した顔写真や、あらかじめ撮影した写真データを使用できます。そのため、紙の写真を窓口へ持参する場合より自由に編集できそうに感じるかもしれません。
しかし、オンラインだから写真の基準が緩くなるわけではありません。外務省はオンライン申請についても、顔の形状や特徴が変わる加工を行った写真は使用できないと案内しています。
さらに外務省の案内では、こうした加工を行った顔写真について「不受理となり、補正依頼通知が届き、差し替えが必要」と明記されています。
したがって、「オンラインなら一度アップロードできたので問題ない」という判断はできません。アップロード操作が完了することと、申請写真として受理されることは別です。
不適切な写真は「永久に申請却下」ではなく撮り直し・差し替えになることがある
写真の規格に問題があった場合、「もうパスポートを取得できないのでは」と心配する必要はありません。
外務省の旅券用写真に関する資料では、不適当な写真を用いて申請した場合、写真の撮り直しをお願いすることになると説明されています。またオンライン申請でも、問題のある加工写真について補正依頼通知が届き、差し替えが必要になるとされています。
つまり一般的には、写真の不備があれば適切な写真を再提出する対応になります。
ただし、差し替えが必要になれば審査や発給までの予定に影響する可能性があります。海外旅行の日程が決まっている場合ほど、最初から規格に適合した写真を用意することが重要です。
オンライン申請では顔の位置・大きさを画面上で調整できる
国内からパスポートをオンライン申請する場合、顔写真はマイナポータルアプリ内のカメラで撮影する方法と、写真館などで撮影した写真データをアップロードする方法があります。
外務省は、写真について画面上で顔の位置や大きさを調整するよう案内しています。また、写真を取り込むと背景が自動的に白色に処理されるため、申請前に処理後の写真に問題がないか確認する必要があります。
ここで行う大きさの調整は、顔の輪郭そのものを変形する美容加工とは異なります。顔の特徴を変えず、写真全体を規定の構図へ合わせるという考え方がポイントです。
本人のイメージを変える加工に「○%までOK」という基準はない
「顔を2%小さくする程度なら大丈夫」「リップの彩度を5%上げるだけなら問題ない」といった数値基準を期待する人もいるかもしれません。
しかし、外務省が公表している案内は、そのような美容加工の許容率を設定する方式ではありません。顔の形状や特徴を変える加工を使用しないという考え方になっています。
そのため「何%なら見つからないか」「どこまでなら加工に見えないか」と考えるより、顔そのものを編集しないという基準で写真を準備するほうが確実です。
写真の明るさなどについて判断に迷う場合も、美容目的の画像編集を重ねるより、照明や撮影環境を整えて撮り直すほうがパスポート写真には適しています。
加工と構図調整の違いを整理
| 操作 | 考え方 |
|---|---|
| 目を大きくする | 外務省が使用不可の加工例として明示 |
| 小顔加工 | 外務省が使用不可の加工例として明示 |
| 輪郭補正 | 外務省が使用不可の加工例として明示 |
| 美白処理 | 外務省が使用不可の加工例として明示 |
| ほくろ・しわ等の修正 | 外務省が使用不可の加工例として明示 |
| 美容アプリでリップ色を後から追加 | 個別の許容基準が示されていないため避けるのが安全 |
| 撮影時に通常のリップを使用 | 本人確認を妨げない通常のメイクとして考える |
| 写真全体の位置・大きさを規格に合わせる | オンライン申請でも画面上での調整が案内されている |
特に重要なのは「小さくする」という言葉だけで判断しないことです。顔自体を変形させる小顔加工と、写真全体を縮小して規格に合う構図へ配置する操作では意味が異なります。
失敗しにくいパスポート写真の作り方
最も確実なのは、最初からパスポート写真の規格を意識して撮影し、美容目的の加工を行わないことです。
スマートフォンで撮影するなら、美肌、小顔、目の拡大、輪郭補正などの機能をOFFにします。普段リップなどのメイクをする人は、撮影前に実際にメイクしておけば、撮影後に色を追加する必要もありません。
撮影後は顔そのものを編集するのではなく、オンライン申請の案内に従って位置や大きさを調整します。最終的な画像を確認し、輪郭や目の周辺、背景などにも問題がないかチェックしましょう。
写真館や証明写真機を利用する場合にも、パスポート用であることを指定し、美容補正機能がある場合はパスポート写真として適切か確認してから利用すると安心です。
写真で迷ったときは申請先の旅券窓口に確認する
パスポート写真には細かな規格があり、個別の写真が実際に受理されるかどうかをインターネット上の一般論だけで断定することはできません。
特に「この程度のメイクは大丈夫か」「この画像処理は加工に当たるのか」など判断が難しいケースでは、申請先となる都道府県や市区町村の旅券窓口へ事前に確認するのが確実です。
海外から申請する場合には、日本国大使館や総領事館など申請先の在外公館へ確認します。
写真の差し替えによって予定が遅れることを避けたい場合は、判断が微妙な加工写真を提出するより、無加工の写真を用意するほうが安全です。
まとめ|パスポート写真は「顔そのものを加工しない」が基本
パスポート写真は本人確認や顔認証に使用される重要な写真であり、一般的なプロフィール写真とは加工に対する考え方が異なります。
外務省は、目の拡大、美白処理、顔パーツ・ほくろ・しわなどの修正に加え、小顔加工と輪郭補正を使用できない加工として明示しています。そのため、顔だけを少し縮小する美容加工についても行わないのが適切です。
一方、オンライン申請では画面上で顔の位置や大きさを調整するよう案内されています。これは本人の顔を変形する小顔加工とは異なり、写真を規定の構図に合わせるための操作です。
リップについては、撮影後に画像編集で色を追加する加工の具体的な許容基準が示されているわけではありません。判断に迷う加工を加えるより、必要であれば撮影時に通常のメイクとしてリップを使用し、その状態を無加工で撮影する方法が安心です。
また、オンラインで写真データを送信できたからといって、その写真が必ず受理されたことを意味するわけではありません。外務省は、顔の形状や特徴を変える加工写真について、不受理となり補正依頼通知が届いて差し替えが必要になると案内しています。
パスポート写真で迷ったときの基本は、「実際の顔を変えない」「美容加工をしない」「規格に合わせるための構図調整だけにする」ことです。海外渡航時の本人確認で使用する写真だからこそ、見栄えより本人確認のしやすさを優先して準備しましょう。
[参照] 外務省「旅券(パスポート)用写真についてのお知らせ」


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