太平洋フェリー「いしかり」と「きそ」はどっちが良い?苫小牧から名古屋まで乗るなら設備・客室・船齢を比較

フェリー、港

北海道の苫小牧から名古屋まで太平洋フェリーを利用すると、単なる移動ではなく、船内で2泊する長い船旅そのものが旅行の一部になります。そのため運航日を選べる場合、「いしかり」と「きそ」のどちらに乗るかは意外と重要です。

2026年現在の現役船を比較すると、「いしかり」は2011年就航、「きそ」は2005年就航なので、いしかりの方が約6年新しい船です。太平洋フェリー自身も、いしかりを「現代のフラッグシップ」と紹介しています。[参照:太平洋フェリー公式「船舶・客室紹介」]

ただし、新しい「いしかり」がすべての面で「きそ」より上というわけではありません。両船とも全長約200mの大型フェリーで、展望大浴場、レストラン、シアターラウンジ、展望通路などを備えています。快適性重視なら「いしかり」をやや優先しつつ、船内の雰囲気や希望客室、旅行日程まで含めて選ぶのがおすすめです。

まず結論|初めて苫小牧から名古屋まで乗るなら「いしかり」をややおすすめ

両方の運航日から自由に選べるのであれば、初めての太平洋フェリーで苫小牧から名古屋まで乗る人には「いしかり」をややおすすめします。理由は単純な船齢だけではなく、2011年就航時から乗り心地を向上させる防振対策やバリアフリー設計を特徴としているからです。[参照:太平洋フェリー公式「いしかり」]

一方、「きそ」も2005年就航とはいえ、長距離フェリーとして十分に充実した設備を持っています。太平洋フェリーは「南太平洋のリゾートホテルのように優雅で洗練された豪華船」と紹介しており、展望大浴場、レストラン、ラウンジ、カラオケ、キッズルームなどを備えています。[参照:太平洋フェリー公式「きそ」]

したがって選び方としては、設備の新しさや防振対策を重視するなら「いしかり」、南国リゾート風の華やかな内装が好みなら「きそ」と考えると分かりやすいでしょう。

「新しいいしかり」といっても2011年就航の3代目

現在運航している「いしかり」は3代目で、2011年3月に就航しました。一方、現在の「きそ」は2代目で、2005年1月就航です。したがって船齢ではいしかりの方が約6年若いことになります。

項目 いしかり きそ
現役船 3代目 2代目
就航 2011年3月 2005年1月
総トン数 15,762トン 15,795トン
全長 199.9m 199.9m
全幅 27.0m 27.0m
最大速力 26.50ノット 26.73ノット
旅客定員 777名 768名
エレベーター 4基 3基

数字を見ると、実は船そのものの大きさはほぼ同じです。「いしかりの方が新しいから船体も大幅に大型」という関係ではありません。どちらも約200m、約1万5,000総トン級という非常に近い規模の大型フェリーです。[参照:太平洋フェリー公式「沿革」]

いしかり最大の特徴は「エーゲ海」をイメージした明るい船内

いしかりの船内コンセプトは「エーゲ海の輝き」です。青い海と空、白壁の建物をイメージした明るいデザインで、船に入ると3層吹き抜けのエントランスと展望エレベーターが目を引きます。

大型フェリーというよりクルーズ船やホテルに近い雰囲気を楽しめるのが太平洋フェリーの特徴ですが、いしかりは特に白と青を基調とした明るさがあります。

苫小牧から名古屋までは長時間船内で過ごすため、こうした共用空間も意外と重要です。部屋にずっといるのではなく、展望通路を歩いたりラウンジへ行ったりする時間が多くなるためです。

きそは「南太平洋」のリゾートホテル風

きそのテーマは「南太平洋のしらべ」です。いしかりの白・青を基調としたエーゲ海風とは対照的に、色彩豊かで温かみのある南国リゾート風の船内になっています。

エントランスには特徴的な光壁があり、太平洋フェリー公式も「エキゾチックな雰囲気」と紹介しています。単純な新旧ではなく、内装の好みでは「きその方が好き」という人がいても不思議ではありません。

船旅では長時間同じ船内に滞在するため、「新しい設備が好き」という人だけでなく、「クラシックな豪華客船らしい雰囲気を味わいたい」という人なら、きそを選ぶ楽しみがあります。

乗り心地を重視するなら「いしかり」が一歩リード

船酔いが心配な人にとって気になるのは、内装より揺れでしょう。いしかりについて太平洋フェリーは、就航時のテーマとして「やさしく、楽しく、新しく」を掲げ、乗り心地を向上させる防振対策を採用していると明記しています。[参照:太平洋フェリー公式「いしかり」]

この点では、新しいいしかりを選ぶ理由になります。ただし「いしかりなら揺れず、きそなら揺れる」という意味ではありません。両船は全長199.9m・全幅27mとほぼ同じサイズで、海況の影響の方がはるかに大きいからです。

低気圧や台風、冬季の荒天などでは大型フェリーでも揺れます。船酔いしやすい場合は船名だけでなく、天気予報を確認し、酔い止めを早めに服用するなどの対策も重要です。

船酔いが心配なら客室の場所も大切

同じ船でも客室位置によって揺れの感じ方が違います。一般に船首・船尾より中央部、上層階より低い位置の方が上下方向の動きを感じにくい傾向があります。

そのため「いしかりか、きそか」だけでなく、選べる客室の位置まで確認するとよいでしょう。特に苫小牧~名古屋は短時間のフェリーではないため、船酔いに弱い人ほど客室選びの重要度が上がります。

反対に船に強く、景色や船旅そのものを楽しみたい人なら、多少の位置差を気にするより希望する客室タイプを優先して問題ありません。

展望大浴場は「いしかり」「きそ」の両方にある

太平洋フェリーの楽しみの一つが展望大浴場です。いしかりにも、きそにも展望大浴場があります。大きなお風呂に入りながら長距離フェリーで移動するという体験は、飛行機や鉄道にはない魅力です。

また両船とも展望通路「プロムナード」があります。昼間に海を眺めながら歩いたり、天候が悪くてデッキへ出にくいときに船内から景色を楽しんだりできます。

したがって「大浴場があるから新しいいしかり一択」ということではありません。主要な共用設備はきそにもかなり充実しています。

レストランやラウンジも両船にある

いしかりにはバイキングレストラン「サントリーニ」、軽食コーナー&ピアノステージ「ヨットクラブ」、シアターラウンジ「ミコノス」があります。またショップ、カラオケ、キッズルーム、ゲームコーナーなども備えています。[参照:太平洋フェリー公式「いしかり船内設備」]

きそにはバイキングレストラン「タヒチ」、スタンド「マーメイドクラブ」、シアターラウンジ「サザンクロス」があり、こちらもショップ、カラオケ、キッズルーム、ゲームコーナーなどを備えています。[参照:太平洋フェリー公式「きそ船内設備」]

名前と内装コンセプトは違いますが、長距離航海を楽しむための基本的な設備については両船ともよく似ています。

Wi-Fiは「新しい船だから客室でも快適」とは限らない

長い船旅で気になるのがインターネット環境です。現在、太平洋フェリーではau Starlinkを利用したフェリーWi-Fiが案内されていますが、利用可能な場所には制限があります。

例えば「きそ」では5デッキ・6デッキの一部パブリックスペースで利用でき、公式ページには客室では利用できないと記載されています。[参照:太平洋フェリー公式「きそ船内設備」]

海上では携帯電話の電波も陸上と同じようには入りません。動画を大量に見る予定なら事前に端末へダウンロードしておくなど、「ネットなしでも楽しめる準備」をしておく方が安心です。

客室は船の新旧より「どの等級を選ぶか」の影響が大きい

苫小牧から名古屋までの長距離では、船の新旧以上に客室等級が快適性を左右します。太平洋フェリーにはリーズナブルな相部屋・寝台系の設備から、1等、特等、セミスイート、スイート、ロイヤルスイートまで複数の選択肢があります。

例えば「新しいいしかりの安価な寝台」と「きその個室」のどちらが快適かと聞かれれば、プライバシーや睡眠を重視する人には後者の方が満足度が高い可能性があります。

予算に限りがあるなら、船名をいしかりにするために客室を下げるより、きそでも個室を確保する方が長い航海では快適になる場合があります。

一人旅なら寝台系、2人以上なら個室も検討したい

一人旅で費用を抑えたい場合は寝台系客室が候補になります。一方、夫婦・カップル・家族で苫小牧から名古屋まで移動するなら、1等以上の個室を取るとホテルに泊まりながら移動しているような感覚になります。

特に2泊する航路なので、「寝るだけだから一番安い部屋でいい」と考えていると、想像以上に船内滞在時間が長く感じることがあります。個室なら荷物を置き、周囲を気にせず休憩できるメリットがあります。

初めて長距離フェリーに乗る場合は、船名だけでなく客室写真と設備を公式サイトで確認してから予約すると失敗しにくくなります。

苫小牧から名古屋は仙台へ寄港する長い船旅

太平洋フェリーは苫小牧・仙台・名古屋を結ぶ航路です。会社概要では、この3都市を結ぶ航路を「いしかり」「きそ」「きたかみ」の3隻で運航していることが確認できます。[参照:太平洋フェリー公式「会社概要」]

苫小牧から名古屋へ向かう便は仙台へ寄港します。そのため短距離フェリーとは違い、船に乗ること自体を旅として楽しむ余裕があります。

食事、大浴場、ラウンジ、景色、睡眠という時間を繰り返しながら北海道から本州を南下していくため、「どちらが早いか」より「どちらの船内で過ごしたいか」という視点で船を選ぶ方が太平洋フェリーらしい楽しみ方です。

「いしかり」の方が速いわけではない

新しい船なら速そうに思えますが、公式諸元ではいしかりの最大速力は26.50ノット、きそは26.73ノットです。数字上はむしろきその方がわずかに高くなっています。

もちろん実際の所要時間は最大速力だけで決まるものではなく、運航ダイヤに従います。そのため「新しいいしかりなら名古屋へ早く着く」という選び方はできません。

どちらに乗っても同じ航路のダイヤに沿って運航されるため、船選びでは速力差を気にする必要はほとんどありません。

車・バイクで乗る場合も船の新旧だけで決めなくてよい

北海道から本州へ車やバイクを運ぶ目的で利用する場合も、基本的な考え方は同じです。両船とも大型の車両甲板を備えており、いしかりは乗用車100台・トラック184台、きそは乗用車113台・トラック183台という公式諸元です。

乗用車やバイクの旅では、船を選ぶことより希望日の車両枠を確保する方が重要になることがあります。特に連休や北海道ツーリングシーズンなどは、希望便の車両予約が埋まる可能性があります。

そのため「いしかりの日まで数日待つ」ことで旅行全体の日程が悪くなるなら、きその希望客室・車両枠を確保する方が合理的です。

設備を比較すると「いしかり」が圧倒的というほどの差ではない

設備・特徴 いしかり きそ
就航年 2011年 2005年
船内テーマ エーゲ海 南太平洋
展望大浴場 あり あり
展望通路 あり あり
バイキングレストラン サントリーニ タヒチ
軽食・スタンド ヨットクラブ マーメイドクラブ
シアターラウンジ ミコノス サザンクロス
キッズルーム あり あり
ゲームコーナー あり あり
カラオケ あり あり
船齢の若さ
防振対策の公式記載 あり

こうして比較すると、いしかりは確かに新しいものの、きそにも主要設備が一通り揃っていることが分かります。「きそに当たったらハズレ」というような差ではありません。

「いしかり」を選ぶと満足しやすい人

いしかりが向いているのは、初めて太平洋フェリーへ乗る人、新しい方の船を体験したい人、明るく現代的な内装が好きな人、乗り心地を少しでも重視したい人です。

また3層吹き抜けのエントランスや展望エレベーターなど、船内そのものを観光対象として楽しみたい人にも魅力があります。北海道から名古屋までの長い船旅なので、船内散策を楽しめるのは大きなメリットです。

日程・料金・客室条件がすべて同じで「いしかりときそのどちらか一つを選べる」と言われれば、総合的にはいしかりを選ぶのが無難でしょう。

「きそ」を選んでも後悔しにくい人

きそが向いているのは、南国リゾート風の内装が好きな人、希望日にきそが運航している人、いしかりより希望する客室が取りやすい人です。

例えば「いしかりは希望日に個室が満室だが、きそなら1等や特等が取れる」という場合には、きそを選ぶ価値が十分あります。2泊することを考えると、船齢6年の差より客室の快適性が満足度へ強く影響することもあります。

また2005年就航だからといって、一般的な感覚で「古くて設備の少ないフェリー」を想像する必要はありません。公式が現在も豪華船として紹介する太平洋フェリーの主力船の一つです。

実は「一番新しい船」はいしかりではなく、きたかみ

少しややこしい点ですが、太平洋フェリーの現役3隻の中で最も新しいのは「いしかり」ではありません。「きたかみ」が2019年就航で、いしかりは2011年、きそは2005年です。[参照:太平洋フェリー公式「船舶・客室紹介」]

したがって「新しい船に乗りたい」という条件だけなら、運航日によってはきたかみも候補になります。ただし3隻は船内コンセプトや客室構成が異なります。

いしかりときその二択であればいしかりが新しい、太平洋フェリー全体ではきたかみが最も新しい、と覚えておくと混同しません。

船を優先するか日程を優先するかで決める

太平洋フェリーは複数の船で運航しているため、毎日好きな船を選べるわけではありません。乗船日によって担当船が決まります。

そのため旅行計画では「いしかりに乗るために日程を変える価値があるか」を考えます。フェリーそのものが旅行目的で、船内をじっくり楽しみたいなら、いしかりの運航日に合わせるのもよいでしょう。

一方、北海道旅行からの帰宅日、ホテル、仕事、車の移動などが決まっているなら、船名より日程を優先して問題ありません。きそでも長距離フェリーとして必要十分以上の設備があります。

予約前に比較したいポイント

いしかりときそで迷った場合は、船齢だけではなく次の条件を順番に確認すると決めやすくなります。

  • 希望日にどちらの船が運航するか
  • 希望する客室に空きがあるか
  • 車・バイクを載せる場合は車両枠があるか
  • 料金・割引条件に差がないか
  • 船内のデザインはどちらが好みか
  • 旅行全体の日程を変更してまで船を指定したいか

例えば「火曜日のきそなら特等が取れるが、木曜日のいしかりは寝台しか残っていない」という状況なら、快適性重視ではきその特等を選ぶという判断も十分合理的です。

まとめ|同条件なら「いしかり」をやや推奨、でも「きそ」も十分豪華

苫小牧から名古屋へ太平洋フェリーで移動するとき、「いしかり」と「きそ」を同じ条件で選べるなら、2011年就航で約6年新しく、防振対策やバリアフリー設計を特徴とする「いしかり」をややおすすめします。[参照:太平洋フェリー公式「いしかり」]

ただし差を必要以上に大きく考える必要はありません。いしかりは15,762総トン、きそは15,795総トン、どちらも全長199.9m・全幅27mで、船体規模はほぼ同じです。きそにも展望大浴場、レストラン、シアターラウンジ、展望通路、ショップ、カラオケ、キッズルームなどが揃っています。[参照:太平洋フェリー公式「きそ」]

雰囲気は、白と青を基調としたエーゲ海風の「いしかり」と、色鮮やかな南太平洋リゾート風の「きそ」でかなり異なります。この部分は優劣より好みです。

そして苫小牧~名古屋のような長時間航海では、船が6年新しいかどうか以上に客室等級の違いが快適性へ影響します。いしかりの希望客室が満室で、きそなら快適な個室が取れるのであれば、きそを選ぶのも十分おすすめできます。

したがって最終的には、「日程・客室・料金が同条件ならいしかり」「希望客室や日程がきその方が良ければ、船齢を気にせずきそ」という選び方が最も失敗しにくいでしょう。なお太平洋フェリー3隻の中で最も新しい船そのものは2019年就航の「きたかみ」です。

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